Twitterでポッキーゲームアンケートやったら1票も来なかったのでもうタイラとラムちゃんでポッキーゲームやりました!↓
美味しそうなパッケージの小箱を真っ二つに分断し、タイラはそれをテーブルに叩きつける。驚いて仰け反ったイマダが、「なんだよ」と呟いた。
ポッキーゲームだよ、とタイラは苦々しい顔をする。
「は?」
「だからポッキーゲームだよ」
「いやわかんねーって」
「ポッキーの日だ、今日は」
はあ? とまたイマダが言う。その場にあった椅子を乱暴に引いて、タイラは腰かけた。深いため息をついて、「作者が」と言いかける。イマダが思わず「待て」と手のひらを見せた。
「その話はメタいか?」
「作者が青い鳥でアンケートを取った。誰のポッキーゲームでSSを書くか、ってやつだ……。それが、まあ、投票が来なくて」
「メタかった」
「で、俺とお前が……」
「なんでだよ! 意味わかんねーよ! ぜって、やだよ!」
俺だっていいはずがない、とタイラは仏頂面だ。ただポッキーを包みから出して、それをイマダに差し出した。
「くわえろ」
イマダはきょとんとする。瞬きをして、「は?」とまた言った。
「マジでやるわけ?」
「作者がそう言ったんだから尻拭いはしないと」
「いや! いやいやいや! 無理だって! つうか誰も見てねえよ、そんな、アンケート1票も入らなかったやつのSSなんて!」
「わかってんだよ。でもやらなきゃならねえ。一度やると、言った手前……こちとら覚悟決めてんだ、ぐだぐだ言うな」
「その覚悟、俺に押し付けないでほしーんですけど?」
いいから、と言いながらタイラはイマダを押さえつける。やだよ絶対やだよ、とイマダが暴れた。「うるさい、ケツの穴にポッキー刺すからな」などとタイラは脅す。そのまま無理やりポッキーをくわえさせようとしていると、案の定ポッキーはこぎみよく折れた。タイラが、イマダの頬を殴る。
「食い物を粗末にすんじゃねえ」
「それお前が言う!?」
仕方なくポッキーをくわえたイマダに、タイラがゆっくりと近づく。その手に、自らの携帯電話を持ちながら。
「そのまま……」
近づいてくるタイラに、イマダは思わず目を閉じた。ポッキーは思いのほか心もとなく、短い。不意に、タイラはまたイマダを殴る。「なんでだよ!」とイマダは頬を押さえながら吠えた。
「汚ねえキス顔晒すんじゃねえ」
「くそ! 理不尽極まりねーじゃんか! だから嫌いなんだよこいつ」
言いながらもイマダはポッキーをくわえ、意識しないように意識する。タイラはどこか苛立った様子ではあるが、仕方なさそうに近づいた。ポッキーの端をくわえる。
目をつむっているイマダにわからないよう、タイラはそのまま携帯電話を構えた。カシャ、と軽い音がして、ついでにポッキーも軽やかに折れる。
すぐさまイマダが飛びのき、「お前いま写真撮らなかった!?」と喚いた。タイラは何も言わず、携帯電話を片手に肩をすくめる。説明の意思はないらしい。イマダはタイラと反対に肩を落として、「なんだよ……マジでなんなんだよ」と呟いた。
古いJポップが流れ出し、麗美は携帯電話を確認する。画面には『癖毛王』と表示されていた。メッセージが送られてきているらしい。
「タイラ……?」
確認してみると、1枚の写真が送り付けられていた。ポッキーの両端をくわえたタイラとイマダの写真だ。タイラは呆れた様子で、イマダはひどく緊張した顔で目をつむっている。思いのほか、カップルのような写真にできあがっていた。
「やば、何これ。ちょー面白いんですけど」
写真を保存しながら、麗美は顎に手を当てる。
「……つうかタイラ、自撮りの技術上がってない?」
同級生組に共有する準備をしながら、麗美はぽつりと呟いた。