カクヨムに初めて投稿したのが、
『泡沫の夢をみる1 絵師の登楼』
初めはシリーズ化するつもりはありませんでしたから、副題も付けていませんでした。
何だか愛着が湧いたので『楼主の事情』を書き、
せっかくだから四部作にしようと思い付き、
百合好きの友人に喜んでもらおうと思って書き始めたのが『芳野のこと』
既にお読みいただいた方はお分かりかと思いますが、芳野はえらいことになってしまったので、止む無く最終話に。
最後、ほんわかと終わるつもりだった『若旦那の思惑』が3作目となりました。
書き続けてこられたのは、レビューやコメントを寄せてくださった皆さま、お星さまをくださった皆さま、PVという足跡を残してそっと触れ合ってくださった皆さま。
皆さまのお陰です。
時代劇が好きで、吉原が好きで。
だから、何人かの方が褒めてくださったような時代考証などは、殆どしておりません。
背景描写や登場人物の口調などは「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」から。
吉原の描写は「吉原炎上」や数々の吉原を題材にした小説や漫画から。
1冊だけ、資料として本を買いました。でも、それも趣味の延長(笑)
なるべく史実に基づいた「吉原」を書いたつもりですが、調べ切れていないところ、事実と違うと認識しつつも構成上押し切ったところ、数え上げればきりがありません。
そこは「夢物語」だからと温(ぬる)い目で見逃していただければ幸いです。
私はハッピーエンド至上主義を掲げているくらいですので、吉原の艶やかで美しい部分を描きましたが、実際の吉原は「苦界」と表現されるほど辛く苦しい世界です。
『芳野のこと』の作中、ある罪を犯した者は「獄門」と記しています。
けれどこの罪、遊女が起こした場合は「遠島」に減刑されたそうです。
そんな情状酌量が与えられるほど、苦しいのだと皆が知っていた。
なのに、いいえ、だからこそ、吉原はかくも華やかで妖艶だったのかもしれません。
儚くはじける泡(あぶく)のような、美しい夢の世界。
皆さまと共有出来ましたことを大変嬉しく思います。
もうひととき、夢の余韻に浸りつつ。
『泡沫』の幕を閉じたいと思います。
皆さまありがとうございました。
溢れるほどの感謝を込めて。