内容は2022年11月11日現在構想しているものです。
●大和石綺譚について
「大和石綺譚」の当初の構想は、槐を主軸にしてのオムニバス形式でした。そのときには槐の他に、花梨と第八話登場予定の人物を含む三人をメインに考えていました。
今はその方針を若干変更して、ひとつの物語として構成しています。大筋はラストまで決まっているのですが、実は細かい話についてはわりと行き当たりばったりです。
タイトルは特にひねりもなく。
読みがどこにも書いていない気がするのですが、そのまま「やまといしきたん」です。
あえて「綺譚」の字を選んだのは、後々に糸が重要なモチーフになるためでもありますが、個人的に好きな小説である梨木香歩氏の『家守綺譚』の影響も受けています。
各話もシンプルにその回のメイン石で。
●鉱物について
作中に登場する自我のある石については基本的に日本産、ただしこの法則に当てはまらないものも今後いくつか登場予定です。
色、形状については作者のロマンも入っているので、現実に存在するわけではありません。一応、日本産とされる鉱物、その画像を参考にしつつ決めてはいます。
●京都について
舞台にするならよく知っている場所がいい、ということで京都を選びました。ただ、作者は生まれも育ちも洛外です。
槐の店はざっくり祇園の南辺り、と考えています。作中で具体的な名を出しているもの以外の施設については、ほぼ架空のものです。花梨の大学やバイト先などに具体的なモデルはありません。
槐の店、もとい音羽家はいわゆるうなぎの寝床と呼ばれる京町屋をイメージしましたが、特に住居についてくわしくない作者としては、ちゃんと成立するのかわかりません。そのうち、あくまでも町屋っぽい架空の家屋だと開き直るかもしれません。(一応、簡単な図のようなものは描いています)
店の名前もあるのですが、どこで出そうか迷っています。
●登場人物について
名前はすべて植物から、音の感じを重視して選んでいます。特に深い意味はありません。名づけが苦手なだけです。
名字の方は鉱物の採れる地名から探していたりします。
この先の物語では、これら法則に当てはまらない人物も登場します。
作中で「守り石」と呼ばれている石たちは、黒曜石、翡翠輝石、石英、現在名前だけ出ている碧玉を含めて全部で八つです。
桜を始めとする、そうではない石たちはだいたい五十無いくらい。
「守り石」とその他の自我を持つ石たちとでは、とある事情で明確に差があります。
外見は皆ざっくり二十歳前後です。老いとは無縁なので、若くもなく老けてもいない。ただ、顔立ちや体つきの差から若くみえる、老けてみえるということはあります。桜は若く見える方、針鉄鉱あたりが老けて見える方、といったところです。
公開当初、第三話を「翡翠」としていましたが、鉱物名としては「翡翠輝石」なので修正しました。彼の正式な名も「翡翠輝石」です。「翡翠」と呼ばれているのは愛称みたいなものだとお考えください。
桜の名も若干ややこしいですが、正式な名は「桜石」です。人と関わることが多いせいで、自身は基本的に「桜」を名乗っています。
石たちは大抵「桜石」と呼んでいます。おそらく翡翠も「翡翠輝石」と呼ばれているかと。
その他だと、実のところ石英は直前まで違う名前を考えていました。しかし、石英という鉱物名を使いたかったので、こちらの方がいいか、とすんなり変わった経緯があります。
以上、思いつくままに書かせていただきました。
少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。
●参考文献
「大和石綺譚」執筆にあたって参考にしている書籍です。
愛蔵版 楽しい鉱物図鑑/堀秀道/草思社
アヒマディ博士の宝石学/阿依アヒマディ/アーク出版
石 昭和雲根志/益富壽之助/白川書院
石の辞典/矢作ちはる、内田有美 (絵)/雷鳥社
価値がわかる宝石図鑑/諏訪恭一/ナツメ社
起源がわかる宝石大全/諏訪恭一、門馬綱一、西本昌司、宮脇律郎/ナツメ社
賢治と鉱物 文系のための鉱物学入門/加藤碵一、青木正博/工作舎
口語訳 雲根志 普及版/木内石亭、横江孚彦(訳)/雄山閣
鉱物・宝石の科学事典/日本鉱物科学会/朝倉書店
図説 鉱物の博物学[第2版]/松原聰、宮脇律郎、門馬綱一/秀和システム
図説 宝石と鉱物の文化誌 伝説・迷信・象徴/ジョージ・フレデリック・クンツ、鏡リュウジ(監訳)/原書房
天然石のエンサイクロペディア/飯田孝一/亥辰舎
宝石図鑑/KARATZ、小山慶一郎(監修)/日本文芸社
三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち/藤岡換太郎/講談社