7章(後)更新開始しました。
土日の書き溜めは……できませんでした……(敗北)
これからもギリギリの更新となりますが、どうぞお付き合いいただけますと幸いです……!
そして以下、今後の展開についてのちょっとネタバレです。
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今日の更新で、大きな苦境は終わりです。
次の更新からは若干の山谷はありますが、浮上していく予定です。
もし読み控えている方がいらっしゃったら、次あたりから読んでみてくださると幸いです!
ただ、まだ山谷はあるので、完全浮上を待ちたいという方は、あと3話後くらいまで待った方が良いかもしれません。
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最後に没供養です。
7章(後)1話
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「さあ――――裁判を始めましょう、ノアちゃん?」
法廷に、凛としたアマルダの声が響き渡る。
周囲では兵たちが、私を警戒するように剣に手をかけていた。
なにか怪しい動きをすれば、すぐにでも剣を抜くということなのだろう。
四方から向けられる冷たい視線に、私はよろめくように足を引いた。
一歩下がる私に、ヨランはついてこない。
私の支えから離れ、痛むはずの足で呆然と立ち尽くしている。
なにか言いたげに口を開いているけれど、出てくるのは喘ぐような呼吸だけだ。
表情を歪ませ、苦しげにアマルダを見つめるヨランを――だけど今は、気にしてはいられない。
さらに一歩足を引いた途端、兵たちが一斉に剣を抜く。
――嘘でしょう……。
抜き身の剣に息を呑む。
これ以上動けば、即座に切り捨てるということなのだろう。
私を見据える目は容赦がなく、冗談ではないと肌で理解できてしまう。
――逃げられない……!
周囲の兵は、ざっと見積もっても十人以上。
全員が剣を握り、私の動きを窺っている。
入ってきた大扉は背後。すでに固く閉ざされたその扉は、そう遠くにあるわけではない。
走ればすぐにたどり着ける距離だけど――そんなことをすれば、周囲の兵たちが黙っているはずがなかった。
ちらりと後ろに目をやれば、扉と私の間に立つ数人の兵が見える。
剣を振るえば届く距離。私が扉へたどり着くよりも、彼らの剣が落ちてくる方が早い。
――他に……逃げ場は……。
必死に法廷を見回すけれど、救いになりそうなものは見つからない。
他の扉は遠く、その手前には兵たちが立ちふさがっている。
私を囲う兵たちに隙はなく、逃げ込めそうな場所もなかった。
――どうしよう……どうすれば……。
焦燥感に、私は震える唇を噛む。
裁判を受けるわけにはいかなかった。どうせ受けたところで、まっとうに反論させてくれるはずがない。私の言葉は聞いてもらえず、アマルダたちの望む結論が出るだけだ。
そうなれば、あとはどうなるかわからない。
不当な裁判だ――といくら私が言ったところで、これは神前、それも最高神グランヴェリテ様の前での裁判だ。
神の名のもとに行われる裁判は、国だって無下にすることはできない。
相手がグランヴェリテ様とあれば、覆せる人間はいないだろう。
――グランヴェリテ様……!
焦る頭で、私は縋るようにグランヴェリテ様の威容を見上げる。
たしかにグランヴェリテ様は、ほとんど人とかかわりを持たない神だ。
言葉を与えることはなく、国を守りはすれども力を貸すこともなく、アマルダが現われるまでは、聖女を選んだことすらない。
でも、この状況だ。
グランヴェリテ様がいるからこその裁判なのだ。
彼が一言でも否定してくれれば、こんなことにはならなかったはずなのに。
――グランヴェリテ様は、どうしてなにも言ってくださらないの……!?
グランヴェリテ様は振り向きもしない。
アマルダを見つめたまま、ぎこちなく微笑むだけだ。
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グランヴェリテへのエレノアの疑惑を書くかどうかで迷いました。
まあでも話に影響が薄いのでカットで……。