「そしてまた月は満ちる」という作品を書きました。
自分としてはとても好きな作品なのですが、フィクションのお作法を踏めていないなあという反省があり。
(それはそれで、原始の脈動みたいなものを感じられて気に入っているのですが)
リメイクをやろうと考えていました。
「そしてまた月は満ちる」は群像劇なので、主人公にスポットが当たるように書いてみたり、登場人物を減らしてみたり。
しかし、なかなかうまくいかないまま時間が過ぎていきました。
精神的に参っていたある冬の日の、布団に入っても寝つけない嫌な夜のことです。
着物の女が吹雪に吹かれ、裸足で歩いているイメージが頭に浮かびました。
これだ!と布団から飛び起きて、湧き出てくるストーリーを紙に書きつけました。
メンタルの辛い時期だったのですが、とてもハッピーな気持ちになり、安眠にもつながったことを覚えています。
次の日、さあ早速書き始めよう!とパソコンの前に座ったのですが、これまたうまくいかず。
設定を何度も練り直していくと、思いついた当初とは全然違う話になっていました。
こうなってくるともはやリメイクではなく、別の物語です。
キャラクターや一部の設定は「そしてまた月は満ちる」から借りてくるのですが、書いていくうちに全くの別人・別物になっていきます。
物語を書くことって、全て自分で考えてやっているはずなのに、時に自分の想定を大きく上回って動き出すから不思議です。