大出春江

10月の暮れ、毎年恒例の文化祭に私たち写真部は「心霊写真館」を開くことに決まった。 小さな思い出と共に、消える。

人生で初めて小説というものを書いて、それから派生する形でシリーズとして書き続け、それもようやく終わりを迎えました。 ふと思ったことを、散らかすように綴ります。

小説を書く。 生きた証を残したい。 けれども一番の理由は、 私を救った君のことを、 愛する人との思い出を残したいから。 ——私の春の夢

「好きなお酒はあるんですか？」 「全般好きだけどね。でも、ウイスキーは特別、好みかもしれないな」 「やっぱり違うものなんですか」 「まぁね」 「……美味しそうに吞みますね」 「そ…

大学四年の春。 私は小説を書き始めた。 新橋桜が遺したものを受け継ぐ形で。 けれども、うまく筆が乗らない。 ——彼女は何を考えていたのだろう。

亡くなった人が目の前に現れたら。 あなたは何を感じ、どう問いかけるのだろう。 私にできることは数少ないけども、素直な気持ちを言葉に変えよう。

先日の夢が忘れられない。 ハッキリと覚えている訳でもないのに。 近々、友人が北海道に来るそうだから話をしてみよう。 何かが、掴めることを願って。 ——大学三年、冬の終わり

苫小牧からの帰り道。電車で一人揺られていた。 気がつくとスーツ姿の紳士が一人座っていた。 どこか奇妙な光景に、私は好奇心を抑えきれなかった。

新橋桜、彼女が残した手紙を持って旭川駅へと向かう。 桜の残した最後の言葉。 大学三年、秋の終わり。 ——私は、何を思うのだろう。

大学の帰り道、色気のある駄菓子屋に立ち寄る。 知る由もない「あの頃」を彷彿とさせた。 店を出ると、駄菓子と睨み合いをする学生が目に入った。 ——冷たい夏の風が吹く。

雪解けも終わらぬ頃。 穴の開いた心で彼女の親へと会いに行く。 彼女の残したものから——私は何を学べるだろう。

大学二年、五月の中旬。 花々の燦燦と咲き乱れるさまは、好きではない。 日の照りも、風の清々しさも。 ——しかし、嫌いではない。 手に取りたいとさえ思えてくる。 ——あの日、あなた…

大学二年の秋。 彼女は突然、小説を書くと呟いた。 あまりにも唐突な発言に驚いたが、彼女は続ける。——「私は小説が嫌いだ」

高校時代のお話。 学校祭の準備に追われていたそのころ、私は初めて金縛りを経験した。 あの頃を思い出しながら、綴りました。

高校生活に終わりを告げて、彼女と北海道へ飛んできた 荷解きを終えたころ、引っ越し祝いに粉雪が吹き込む 彼女とのひと時に恋の形を少しだけ理解する

シリーズ『私の春の夢』 —— 大学二年の春 久々に早起きをした私は、新橋桜と散歩に出かける。 冬の終わりを、雪解けの香りを感じる。 しかし、彼女の様子が普段とは違うことに気づ…

私は、北海道の冬を初めて経験していた。 寒さも、粉雪も、暑さも。 ストーブの前で、炬燵の夢を語る。

北海道の秋 私は彼女、新橋桜と雑談に興じていた 秋の空、季節の循環

コインの表を磨くとき、裏面が汚れることは気にしない きっと、そういうこと それは決して悪いことではないのです

「私」は冬の山の中を歩いていた 当然、夜。自死に向かう所である 生きる理由も気力もなく、ただ一人 ふと、あの日を思い出して 超短編小説

夏を感じたいと思い立った「私」は苫小牧に一人海を見に行く 真夏の北海道、海で見たモノ 北海道が舞台の幻想小説

気が付くと暗闇だった。 高校帰りに拉致された「私」は、目隠しの先の「彼女」と場違いな雑談を始める。 彼女の目的は何なのか、私はどうなってしまうのか。 真夏の夕暮れ時が舞台の一話読…