おはようございます、埴輪です!
お陰様で、「グリムノーツ ~小さな音楽隊~」は多くの方にご覧頂いているだけでなく、評価も多数頂いております!
本当にありがとうございます!
さて、本日「くさかべまこと」さんからレビューと共に質問を頂きましたので、ここでお答えさせて頂こうと思った次第です!
内容的ネタバレ要素を多分に含みますので、この先は本作をお読みになった上でご覧頂くことをお勧めします!
なお、以下の記載内容はあくまで私の解釈であり、これが絶対正しい、正解だと主張するものではありませんので、どうぞご了承ください!
※以下、ネタバレを含みます!※
①ロバはどうして自分の運命に疑問を抱いてしまったのか?
私は「自分の運命に疑問を抱いてしまった住人に、カオステラーが憑依する」のではないかと考えております。
あるいは、「カオステラーが憑依したことで、自分の運命に疑問を抱いてしまった」と捉えることもできるかもしれません。
②原作と同じ筋書きで展開しているのは意図的か?
意図的ですが、以下のような原作と異なる点もあります。
・ロバが女の子
・仲間の動物が子供
・ブレーメンに向かう(ブレーメン自体は存在しませんでしたが……!)
原作の良さを生かすべく、同じ筋書きとなるよう意識しました。
③ロバの「夢」について
ロバの本当の夢は、ご指摘の通り「ずっと飼い主の元で年を取らずに小麦を運びたかった」となります。
ただ、その前段階として、「ブレーメンに行きたい!」という夢と、「なぜブレーメンに行くのを諦めてしまうんだろう?」という疑問も抱いております。
なぜこのような二重構造になっているかというと、原作である「ブレーメンの音楽隊」の存在があります。
私が原作を読んでまず思ったのは、「ブレーメンに行かないのかよ!」というものでした。
この思いが、ロバの疑問につながっております。
二つ目に思ったことは、「老いと老後の生活」がテーマになっているというものでした。
この想いが、ロバの本当の夢につながっております。
「ブレーメンの音楽隊の想区」を舞台にした物語を書く以上、この二つは欠かせないだろうというのが、まず前提としてありました。
……というのも、私は「グリムノーツ」という作品が、原作となる物語の「もしも」……新たな解釈を描いていることに、その面白さがあると思ったからです。
これを踏まえて解説させて頂くと、まず開始の時点で物語から「老い」に関わる部分だけが削除されています。(冒頭の物語を参照)
その状態で「ブレーメンの音楽隊」は、仲間を集めてブレーメンで音楽隊に入る予定だったけど、途中で止めて小屋で暮らすというお話になっています。(これがロバの運命の書に記載されている)
これに納得できなかったロバは、運命に逆らって、ブレーメンを目指します。
しかし、ブレーメンが存在しないことを目の当たりにして、運命の書通り小屋に向かいます。
そこで「仲間達と永遠に暮らす」というハッピーエンドに、タオ・ファミリーを巻き込もうとして、撃破されます。
そこで初めて、「ブレーメンの音楽隊」は老いにより主人から疎まれた動物たちが、再出発する物語だと明かされることになります。
ここで問題になるのは、「カオステラー」の力が、どれほどまでのものであるかということ。
正直、カオステラーは解釈の仕方によっては神のごとき力を発揮するため、その力を存分に振るうと、タオ・ファミリーですら太刀打ちできない存在となります。
カオステラーにどの程度の権限を与えるか、カオステラーの影響力はどこまで及ぶのか……このさじ加減は、とても難しいと思います。
本作の場合、カオステラーが与えた一番大きな影響は、「ブレーメンの音楽隊」という物語から「老い」というテーマを奪ったことです。
それによって、物語にはカオスが生まれます。
そこにタオ・ファミリーはどう立ち向かっていくのか……それが、「グリムノーツ」という作品の醍醐味だと思います。
コンテストに応募されている作品を読ませて頂くと、カオステラーの解釈や影響力も作者によって様々で、そこがまた面白いところではないかと思います。
……長くなってしまいましたが、ロバはカオステラーではあるものの、彼女もまた、改編された物語に翻弄されたキャラクターの一人であったということ。
そして、その思いの根底には、「老いに対する恐怖」があったということです。
……以上です!
ご質問ありがとうございました!