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いっさん小牧様 レビュー忘れません(*´∇`*)

事実は小説より苛烈で、温かい。
★★★ Excellent!!! いっさん小牧
おそらくは作者、星都ハナスさんの自伝的エッセイ。
その生涯に散りばめられた泪の要因は数知れず。
先生や友人、そして最も近しい関係である、父と母。
星都さんは泪を流し、悔しがり、恐れ、諦め、時にはほけっとして、また泪を流しながら生きていきます。
「こんなの小説の中でも見たことがない」という激烈な経験が全てのエピソードにちりばめられています。どれだけ、透明な壁に押し潰されながらの人生だったか。
特に、お子さんのくだりでは私も泣けてしまいました。

ただしこのエッセイ。
延々と続く運命の中、どこかしら爽快なものをもっています。
バシンバシンと頭を打ちながら、その都度痛みを感じながら、それでも飄々と生きていく筆者の姿に読者は心からの共感を覚えるでしょう。

もぐら、とは土の中に潜む生き物。
だけど『土』に囲まれながら、『土』と友達になる生き物。
星都さんを囲んだ『土』は、いつしか星都さんの一部になっていました。

そして最終話――つまり、今。
もぐらは泪を流しながら土に全身を預けるのです。
そこには、形容しがたい180度逆の景色が広がります。
ぜひ、皆様にはその景色にたどり着いていただきたいと心から願います。

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