「ども! 異端審問官リンゼイと」
「その護衛騎士のディーンでーす」
「「二人合わせて、『異端審問官リンゼイ&ディーン』! お前の原罪を数えろ!」」
「と、いうことで、ですね。第四回目はリクエストにお応えして、水着回!」
「狭いスタジオに、男二人が水着でいて……。これ、画的に大丈夫か?」
「大丈夫!! ニコ動でお伝え出来ないのが残念です!」
「男の水着をニコ動にアップしても、再生回数につながらんだろう……」
「じゃあ、セト呼ぶ? 水着着せて」
「絶対ダメっ!!」
「あー。嫉妬だぁ。独占欲だぁ」
「違うっ! そもそも、「あっち」には、こんな露出の大きい格好で水の中に入る習慣がないっ!」
「あー。そうかも。湯治目的だよね。海に入るとしたら」
「病気の療養が多いかなぁ……。明らかに『服』って感じの格好で、海水に浸かる、というか……」
「日本は、それプラス禊の意味もあるかな。青嵐なんて、子どものころ、体弱かったから、沸かした海水とか、なんかよくわからない山から採ってきた鉱水につけられていたよ。本人が覚えてるぐらいだから、小学校低学年まではそうだったんじゃないかな。定期的に、ぼちゃん、って」
「……それは、現代日本の話なのか……?」
「あの家だけ、ちょっと変だけど……。ま。でもさ。今、『水着』っていえば、海水浴でしょう! プールでしょう!!」
「ま。そうだよな。だから、なんで室内に野郎ふたりが水着でいるのか、理解できない。普通、プールとか海とかに行く設定じゃないのか?」
「そりゃ僕だって、行きたかったさ! 海にプール! 水辺に女子! ビキニやオフショルダー水着の女の子に囲まれたかった!」
「だったら……」
「そりゃ、ディーンは良いよっ! そこそこ日焼けして、がっちり体格で、背丈もあってさあ! 僕なんて、ほぼ屋内仕事だから、色はまっ白、脱いだらあばらが浮いて見えるし、腕なんて、ほらっ!」
「まぁ……。まるで白魚のようだよな……」
「こんな格好じゃ、まだ海に行けませんっ!」
「いつ行けるんだよ、じゃあ……」
「もっと、筋肉ムキムキの、毛だってもじゃもじゃになってから! それから、ビーチの水着女子をナンパ……。そういえばさぁ」
「いきなり、なんだ」
「あの、ラッシュガードって、なに!!」
「急に大声出すなよ。え? ラッシュガードって、あれだろ? 水着素材の長袖みたいな……」
「あれを着た女子は、遊泳禁止!」
「なんでだよ!! 日焼けしたくない子は着るだろ!」
「何しに来たんだよっ! 海に! プールに! 水着を着ろっ! あれは服だっ! 異端だっ! 審問にかけてやるっ」
「えーーー……」
「大司祭だって言うよ! 言っちゃうよ!? 『ちょ……w あれ、異端』って!」
「言うかなぁ……」
「焚書!! いや、焚着!!! 僕は、ラッシュガードを認めませんっ」
「もう、お前の煩悩を数えろ……」
「うちの高校でも、スクール水着じゃなくて、ラッシュガード着用になってさぁ」
「ああ。リンゼイ、高校に通ってるんだっけ」
「うん。県立大付属ね。あ。そうだ。ほら、いつもお世話になってるクロコウの化学同好会、いるじゃん」
「ああ。あの眼鏡で白衣の人と、髪の毛もじゃもじゃの小柄な人」
「僕の先輩が、クロコウのカレシと付き合ってるんだよね。確か、剣道部。一回、化学クラブの手伝いに来てたけど、ディーンぐらいがっしりした剣士だよ」
「へぇ。一度お手合わせ願いたいな」
「でね、その彼氏の弱みを握るとかなんとか言って……。勝手に校内に忍び込んでいることがあってね。クロコウ化学同好会が。僕、その時に知り合いになって……」
「弱みを握るって、なんだ?」
「よくわかんないんだけど……。先輩も、変なのに付きまとわれてるなぁ、って」
「大丈夫なのか、それ」
「大丈夫でしょ。だって、あんなゴツい彼氏がいるんだもん」
「ふーん」
「ま。ということで。
本編である『祝福の花吹雪をあなたに』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889618414は、
後半に入ってまいりました」
「ようやく、三人とも本名が出たな」
「終盤まであと少し。エピローグの後は、番外編が続きますので、どうぞそちらもよろしくお願いします」
「それでは、また、本編で……。あれ、今、ドアがノック……」
「ん? あぁぁ!! セトー!」
「ぎゃあああっ! セト、なんて格好っ!」
「えー、可愛いじゃんっ。似合ってるよ、セト、胸大きいからっ」
「服、服、服、服っ!! せめて、ラッシュガードにしなさいっ!」
「ラッシュガード、前閉まる? あの胸。わー。それはそれでエロイな」
「ぎゃああああっ」