恋愛オムニバス短編小説「恋日恋夜」シリーズにおいて、ひとつだけこだわり?というか敢えて仕掛けているものが「主人公たちの名前表記をカタカナにしていること」です。
なぜかというと、名前はすごくキャラクターの人生を反映するものだと思っていて、漢字一つ一つがアイデンティティの要素であるというのは私たち現実における「名前」と同じものであるということです。
私たちの名前の漢字ひとつとっても親の願いや思いが反映されていて(もちろん画数も含め)、そこから見える性格っていうのはわりとその人自身を固定しやすくもあります。
恋日恋夜シリーズのコンセプトとして「誰かが誰かに恋をしている」というのがあります。その「誰か」というのは、本当に誰でもなくて、そこに固定しすぎたアイデンティティや個性をあまり入れたくなかったからです。
たとえば「あきら」だったら、晃、彰、昌、明良、亜輝、と色んな字があります。どれも響きは同じなのに、どの漢字をチョイスするかによって「あぁ、なんとなくこんな子かなぁ」とイメージしやすいかと思います。また、男の子じゃなくて女の子でも「あきら」にしたい場合も、女の子であきらだと親御さんは男の子っぽくない漢字をなるべく選ぶだろうなと考えたりするので、その選ぶ漢字イメージは人それぞれだと思います。
読み手さんにイメージを委ねたくて、カタカナはあくまで名前の響きであって、その響きを頼りに個々が思い描く「名前のイメージ(漢字)」にしてほしいという思いを込めて、全てカタカナ表記にしています。
(ひらがなじゃないのは、他のひらがな文との区別がつきやすいように)
読みながらふと「なんで全員カタカナなんだ??」と思う方がいらっしゃると思うはずなので、何となくな注釈です。
読み切り短編ですが、ちょこちょこリンクストーリーも出てきますので楽しんでいただけると嬉しいです!