• 現代ドラマ

6月2日

1000pvからの伸びが凄くて感動です…皆さんありがとです。

果てさて、今日、会社で避難訓練があったのです。大人になると、意外と出来なくなる人も多いのです。ボクとか。

大きなアナウンス音とともに通知されます。

「〇〇棟〇階、〇〇室で火災が発生しました。各課にて指示をまとめ、避難場所へと退避してください。避難場所は…」

3つほど場所が提示されます。その時にはっとなるボク。実はこれまで聞いてません。うつらうつらと仕事中の癖して半分寝てたのです。
瞬時に頭が回り、これは訓練だとボクにしては相当早いスピードで理解します。じゃあ今聞いた3つは、火災の起きた場所って事だな。
……やけに広い場所ばかりだな。なんでだろ。まあ、いいか。そこ以外で広い所となると…うーん…
あ、あそこか!大人になると避難場所は教えてくれないんだなぁ…

そんな事ありません。去年も教えて貰ってたはずです。

しかもあろう事か、勘違いした避難場所はしっかり火災場所の隣。死ぬ気でしょうか。
一足も二足も遅れて、慌てて口をハンカチで塞ぎながら歩きます。……逆方向に。

大きな道に出ると、何故かみんなボクの反対へと歩いていきます。逆に歩くボクをまじましと見つめていくのです。

普通ならここで気づくのですが、ここで更に大きな勘違いをします。ああ、これもしかして気付いたのボクだけじゃ……と。きっとみんな引っかかってしまったのだ。間違いない。
頭の中でヘッドホンアクターを流しながら、優越感に浸って歩く歩く。

目的地まで後少し。隣は燃えてるはずの場所。やけに静かな空気ですが、やはりボクだけ…ふふふ。
すると話し声が聞こえてきました。ふむ、何人かは気づいたのか。

恐る恐る顔を出してみると、あっちも驚いた顔をしています。というか、偉い人ばかりです。

「あの…一応ここは火災現場…なんだけど。君、死んでるよ?」

いや貴方も…そんな事考えながら、何を間違えたのか考えます。

「ひょっとしなくても聞き間違えたね?いいかい、今回は訓練だからいいが、本当だったら……」

お説教タイムです。まあ確かに本当だったら自殺行為ですが。だけど、本当に燃えてたら分かるし…
聞いてなかった自分が全部悪いんですが。

ちなみに偉い人達は、ここで火災が起こった際にどういう広がり方をして、最適なルートを構築できるか話し合ってたそう。ボク場違いだし、凄い申し訳ないです。

数分遅れて、避難場所から連絡が入ります。1人足りないと。もうボクしかないでしょう。

「今度から聞き間違えたりしないように。はい、次はここだよ。」

言われた通りにダッシュ。ちょっと情けなくて涙も滲みます。
遅れて着けば、沢山の目、やれやれといった顔の課長。そして肩を落として項垂れる正義。

……その、ごめんなさい。

いいですか?大人になっても寝るわ話聞いてないわ泣くわの大人もいるのです。そんなに心配しなくても大人になれるのですよ。これでも。

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