おはようございます。今日は小話をひとつ。
ボクはとっても耳がいいです。いや、元々は別に気にする程でもありませんでした。でも、悪意を向けられてからという物、嫌でも音が、声が、感情が気になって仕方なくなりました。
そんなボク、昨日は食堂の端っこでモグモグとパンを齧っていました。あいにく正義は時間が合わないようだったので1人です。1人になると一気に五感が強くなり、視線や悪口を言ってないか不安になってきます。
その時小さくですが、耳が拾ってしまいました。
「あのさ、○○課の話せない小さい女の人知ってる?」
ボクしかいないでしょう。ドキッとしたボクは食事の手も止まり、その話を聞こうと耳を澄ませます。
「知ってるよー、あ、私見ちゃったんだよね…」
ドキドキ…
「いきなり首がカクッてなって慌てて周りを見渡してたの。なんか可愛いなーって思っちゃった、年上なのにねー」
…なーんだ、そんな事か。なら大丈…夫じゃないかも…!?ブンブンと首を振ってある人を探します。
その時肩を叩かれ、ビクゥっと跳ねて恐る恐る上を見ると…
探していた人がいました。つまり課長です。このタイミング、この距離。ああ、寝かけたのバレたかも…
「大丈夫か?今日は帰るか…?」
……んんん…?
「触ってみろ。」
自分の顔を指され、言われるまま触ってみます。するとまあ、尋常ではないほど汗をかいています。きっと彼女らの話が怖くて、思ったよりも冷や汗をかいてしまっていたようです。慌てて首を振り、汗を拭き、パンを齧ります。
「まあ、元気ならいいが。無理だけはしないでくれよ?」
そういうと課長は職場に戻っていきました。良かった、お眠り未遂の件じゃなかった…全く、お騒がせな新入社員達だ…
めっちゃ見てます。もうこっちをガン見です。そりゃさっきまで話していた人物が課長と話してたら見てしまいます。
無理やりパンを詰め込み、足早にその場を去ってしまいました。きっとまた新入社員達の間では新しい出来事の1つとしてカウントされた事でしょう。
皆さん、どこかで人は見てます。絶対に、ぜーったいに外では気を抜かない事!