マリーがフランス革命から逃げ落ちた王家の姫君だと知れたら、只では済まないだろう
「仕方あるまい、フランス本土では新大陸の実情処では無かったのだから …… 」
生牡蠣をしゃぶりながらシャルルが答える
己の足元に火の着いた貴族達は、それどころで無いのは当然だろうが、それにしても食糧が足りなく為り『アン王女の復讐号』を襲うとか、新大陸で捲土重来を図るとか、余りにも無計画過ぎる
無謀としか言えない計画の首謀者が呑気にシャンパンを飲んでいるのを見て、アン・ボニーも嫌味を言う
「アンタじゃあ、フランス海軍の追手には勝てなかっただろうぜ?精々アタシに感謝しな?」
「『ラ・フランス』は最新鋭の大型艦だ!負ける筈が無い!」
「今は『リヴァイアサン』な」
「うっ」
「アタシに負けた癖に」
「ぬぐぐ … 」
王族御用達船は内部に王宮の一室を再現し、不自由無い居住性を求めた結果、大砲等の武装が犠牲と為っていた
毎日新鮮な卵と牛乳を手に入れる為に、鶏舎と牛小屋まで在るのだ
勿論、牛は売り払い小屋は撤去した
「まあ、腕っぷしも弱えしなぁ♪」
メアリー・リードが追い打ちを掛けて誂うと、シャルルは顔を真っ赤にして立ち上がるが、横に座るマリーに袖を引かれて席に戻る
「 …… 負けた訳では無い」
中々頑固な負けず嫌いである
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