やまの　かなた

老女は今日も座敷から縁先に向かって語りかける。あたかもそこには自分の話に耳を傾ける尼がいるように。

地方きっての大山主の一人娘の菖蒲（しょうぶ）は大切に育てられ申し分のない美しい娘になり、いよいよ婿を迎える年頃になりました。

師によって、土くれから形づくられたシューは、他人を育てながらも己を育てる旅に出る。 私達が死ねば灰になり、やがて土に戻る。

誰の悪だくみか、幼いテンは五助爺からも引き裂かれて、たった一人で土蔵に暮らす事になる。あてがわれるのは朝と夕の貧しい食事だけ…。

昔々、貧しい屋根の下に女の子の双子が生まれた。 一人は色白の大きな子だったが、もう一人は色黒の小っちゃな子だった。 一人は美しくあでやかな娘になり、もう一人はどこまでも寸詰まりで…

ひどい湿疹で赤鬼のお化けみたいになった年頃のハルは、死んでしまおうと禁忌の山に登って行く…。

ボロ雑巾のような老婆が死に場所に選んだのは一度も見た事もない海、その浜辺だった。

幼いターミーはあんなに優しかった母を亡くして忙しい父が頼んだ子守の女性と暮らす事になる。

その昔、異国の青年ヘンリは人伝えに聞いた”日本”という国に狂おしい程の憧れを抱いてしまう

昔々、仲良しの姉妹が同じ頃に子宝を授かった。二人は子の健康と幸せを願って近くに住む祈祷師を訪ねて良い名前を名付けてもらいに行く…。

昔々、山ばかりの傾斜の急な村に、隣同士の家で同じ時期に男の子が生まれました。

昔々、どんな事情で流れて来たのか、小さい女の子を連れた女が、人里離れた山奥に住む無口な老人を頼ってそこに住み着きました。

濡れ衣を着せられ切腹させられそうになった総十郎と妻タカは、雪の中を必死に逃げ出したが…。

四十八歳と言えば、孫がいる年頃のお絹。とっくに亭主に幻滅しながらも生き地獄の日々を送っていた。だが、とうとう堪忍袋の緒がブチっと切れた。

昔々の事 人生なんて思うようにならないもの。お夢は嫁にも行かずとうとう70歳になっちゃった。 朝、自分の体が動かない事に慌てるが…。