今年も今日という日がやってきました。
29年前のあの日。
一生忘れる事のできない悪夢の様な日…
目に映る全てが昨日までの見慣れた風景と変わってしまったあの日。
長い様なあっという間の様な月日が流れました。
更地になった街や焼け野原になった街には建物が建ち、あの日を知らない世代が生まれ、あの日を知らない人達が引っ越して住む様になりました。
あの日の街を知らない人達の方がもう半分以上とも言われています。
街並みもすっかり変わり、その間にもそれまではあまりなかった大地震が各地で起こる様になり、報道も街で起きた地震を扱う事はすっかり減ってしまいました。
もう復興した…多くの方が思っているでしょう。
でも、実際はそうではないのです。
他県へ避難して戻って来なかった人達。
更地のままの土地。
そして今も転出が続き人口が減少して経済が縮小していっている現実。
何より6000名以上の失われた尊い命…その中には私の知っている方も…。
生きていれば私の同じ年のあの人は素敵な時代を過ごし、素敵な母となり、ひょっとしたら可愛い孫に囲まれている今日を迎えていたかもしれない。
ひと月程経って知らされた知らせ…泣き叫ぶ彼女と共にただただ茫然とするしかなかった。
29年経ってパッと見は復興した様に見える街。
多くの人々が行き交い、多くの観光客が訪れてくれる街。
でも、あの日を経験した人々はあの日を境に全てが変わってしまった。
もう二度と元には戻らない。
和らぎはすれど癒える事は二度とない。
今も、東北で北海道で九州でそして北陸でずっと耐えている人々がいる。
色んな災害で全国で耐え忍んでいる人達がいる。
癒える事はないけれど、和らぐ時はいつかくる。
笑顔が出る日はきっとくる。
そんな事を人生観が変わった29回目のあの日に思う…。