どれだけの方が読んでくださるかはわかりませんが、これから私の『はんぶんこ人間』各章に関する話を、近況ノートで語りたいと思います。実は2章はもうすぐできあがるんですが、2章からは長いため小分けにして投稿する予定です。
それでは、第1章:ストレンジカメレオンの話をしましょう。
章のタイトルは、the pillowsの楽曲『ストレンジカメレオン』から取っています。作中にもタイトルが出たこの曲は、ほの暗いラブソングのように語られることが多いです。
確かにラブソングのようなフレーズが随所にあるんですが、僕は少し違うことを感じ取ります。
それが、この世界に対する空虚さと自分自身のどうしようもない不完全さ、そしてそれらに対する諦めのような肯定のような気持ち。この曲の歌詞には、随所に矛盾したような感情が見て取れます。
「”終わらないプレリュード奏でて生きていくみたいだね”って僕ら笑う 死んでるように」
「僕と君の過ごしたページは破り去られ 歴史には価値のない 化石のひとつになるのさ 君と出会えてよかったな Bye Bye僕はストレンジカメレオン」
最も印象的だった部分を、抜き出しました。
前向きさと後ろ向きさが同居しているような、何とも言えない感じですよね。このあと本当に死んでしまうのではないかとすら、考えさせられます。
僕が『はんぶんこ人間』を書こうと思ったきっかけの曲で、1章にはこの曲のエッセンスを少し入れております。
ほとんど、『ストレンジカメレオン』という楽曲の感想になってしまいましたね(笑)
また、第1章は、この物語の主人公ふたりが出会いました。
一見プロローグのようですが、物語的には全然プロローグではありません。時系列準に章を構成しなおすのであれば、第1章は第3章くらいになるでしょうか。その話は、また追々していきましょう。
かなり先になりそうですが(笑)
そうそう、本作の舞台である「京都木屋町」の話もしないといけませんね。
木屋町というのは、四条河原町の木屋町通り沿いの区画のことです。少し路地を入れば「先斗町」だったり、もう少し離れれば三条だったり、かなり狭い地域と言えます。
そこが、京都にある唯一と言って良いほどの歓楽街です。
飲み屋さん・バー・ガールズバー・キャバクラ・ファッションヘルスなどが、狭い狭い土地の雑居ビルに集まっている一見面白そうな通り。
しかし、実際には風俗の客足が落ち、店自体の売上も質も落ち、あまり面白いと言い切れないところです。僕は今フリーライターですが、元々この木屋町で風俗のボーイをしていました。
そのとき感じていた、この街の緩やかな衰退と、それに反するかのように頑張ろうとする飲み屋の人たちの活気を本作でも出せればなあと考えているわけです。
主人公であるスグルが木屋町通ですが、その知識はほとんど木屋町の事情を知る私自身の経験や取材によるものとなっています。ある程度はリアルに書けていると自負するところです(笑)
以上、第1章ストレンジカメレオンのあとがきと、本作全体の紹介でした。
実は、第2章以降も章タイトルはすべてthe pillowsの楽曲になっています。第2章を全部投稿し終わった際のあとがきでも、また曲の話をしたいですね。