2001年のサイト開設以前にすでに書き上げていた、とても古い作品です。初稿は1998年か1999年だったでしょうか。
もともと自サイトで公開していた作品で、サイト閉鎖後、『小説家になろう』さんに置いてあったのですが、こちらにも転載することにしました。
紹介文にも書いた通り、第四回教育総研(現・ワオ・コーポレーション)創作ファンタジー大賞ファンタジー部門大賞受賞作です。
この賞は、私が受賞した第四回(2000年)で最後になってしまい、今ではかの乾石智子先生を排出したことでのみ名を残している状態ですが、第四回の審査員長は荒俣宏先生、審査員には小谷真理先生もいらっしゃいました。
大賞作品は書籍化が約束されていたのですが、選考期間中に主催社の社名変更や社屋の移転などの状況の変化があり、その中で様々な方針の変更もあったのか、第三回以降の受賞作の出版が立ち消えになってしまいました。
すでに出版に向けて、審査員の一人だった児童文学作家の先生のご指導のもと、改稿に取り組んでいたところだったのですが……。
私の前の第三回の受賞作など、すでに表紙デザインも出来上がっていたはずなのですが……(←見せてもらった)。
そういうわけで、サイト開設後、主催社に許可を得た上で、ネットで公開することにしたのでした。
ところで、この作品は、現在『小説家になろう』さんのみで公開している『イルファーラン物語』と背景世界を共有する関連作品ですが、ストーリー的には、完全に独立した物語です。
地形や地名や風俗習慣はほぼ同じだけど歴史や社会制度は違い、時代ももっと下って現代に近づき、『イルファーラン物語』では実在していた魔法やドラゴンはすでに伝説上の存在となった、パラレルワールドみたいなものです。
『イルファーラン物語』キャラと同じ名前のキャラが出てきたりもしますが、もちろん同一人物ではありません。
この作品を書いた20世紀末の時点では、まだ、インターネットで小説を公開するなんて思いもよらなくて、既に書きあがっていた『イルファーラン物語』は将来にわたって全く公開のあてがないと思っていたので、愛着あるその世界やキャラを、せめて別の作品に生かすことで日の目を見せてあげようと、いろいろと解体して取り込んでみたのですが、原形をとどめないまでに消化されているので、『イルファーラン物語』を知らない人がこの作品を単体で読めば、(何かの外伝だろう)とは、たぶん思わないはず。
実際、以前、『イルファーラン物語』の存在を知らずにこれを読んだ人(上記の賞の審査員のお一人ですが)は、「他に本編がある『外伝』的な作品はだいたい何となくわかるものだが、これはぜんぜんそういう匂いがしなかった、やられた、騙された(笑)」とおっしゃっていました。
というわけで、『イルファーラン物語』も読んでくださってる人は、あちこちで(おや?)と思ったり、にやりとしたりできるはずですが、『イルファーラン物語』未読の方は、また違う感じ方ができると思うので、ぜひ新鮮な目で読んで欲しいです。