• 恋愛

勇気をください 2話

そう、この日俺は、恋をしているのだ。自分で確かにそう感じたのだ。ならばいっそこの今までの出来事を彼女に話して告白しようかとおもった。でも、、、まだ話したことすらない、ましてや俺は彼女の存在を知ったが、相手は顔と名前も一致しない自分の事をそんな簡単に受け入れてくれるワケもないだろうと感じた。
どうしよう、、、どうやって彼女に、りんちゃんに近づけば、、、、と授業中にそんなことばかり考えてしまい全く集中出来なかった。
電車で帰るとケータイにイヤホンを刺し好きな曲を聴く。ちょうど好きなバンドが新しいアルバムをリリースしていた為そのうちの一曲を聴いていた。その曲の歌詞の中にこんな言葉がある。
「時計、針、ぐるぐると時間切れ近づく合図、手遅れになる前に正直になれよ」
「偶然を待ってもなんにも変わらない」
この言葉が今の自分と合致しているようだと感じた。だが、いくら自分を励まされているような言葉を聴いてもまだ抵抗があった。いこう!と思っても、でも、、、となってしまう自分がいたから。俺は弱い、、人見知りなんだ俺は、、人から声をかけてもらったことはあるが、自分から話しかけることなんて滅多にない。ただ、困っている人を見かけたら助けてあげるそれが唯一の強みだった。
友達と恋愛の話になると、
「お前5億人くらい彼女いるでしょ。」
「今まで彼女いるでしよ?」
「いないよ。」
「いやいや、絶対1人2人はいるよ。」
と言う感じで盛り上がるが、違うんだ、、違うんだ、、本当は、彼女ができて、いい感じになって、童貞を卒業したいなんていう妄想しているクソ野郎なんだクズなんだよ。こんな中身が空っぽなやつなんかと付き合いたくはないよなホント。だが、冷静になってみると、好きな子と言葉も交わせない19歳間近の男なんて情けなくなる。あっちから声をかけてもらえないだろうか。そんな訳が、、今、家族や友人に誕生日プレゼント何が欲しい?と聞かれたら、
きっと、
「彼女、、」
ではなく、
「勇気が欲しい、、。」
と、答えるだろう。
しかし、そんなモノプレゼントされるはずもない。だから、服とか、靴、お菓子と現実的なモノを答える。勇気何てものは、人から得るものじゃない自分で決意することでそれがあらわれるんだ。彼女にタクミとの楽しかった思い出や、田村との思い出を話したら、くだらない会話でも居心地が良くなるだろうか。そんなおもいをしながら時間だけが進んでいってしまった。
とうとう、彫塑授業最終日。前日の夜は彼女のことばかり考えてしまい、眠れなかった。どうにかして声をかけなくては。
もう会えなくなるかもしれないし、永遠とこの同じ空間にいられなくなるかもしれない。多分、いや、絶対に後悔する。決めた。今日、声をかける!講評会が終わって片付けの水道場で並んでいる時にわざと彼女の隣に行こう。講評会は何人か選ばれ自分で頑張ったことや難しかったことを発言しなくてはならない。何故か俺の作品が選ばれた。彼女の前で少し声を震わせながら発表を終えた。そして、みんな粘土を解体して道具を洗う水道に向かう。俺はこの一瞬を逃さなかった。彼女を目で追いすかさず右隣に一歩踏み込む。すると、まるで、、、、、例えが見つからない。
それくらい、胸が、心臓が、ドクドク、バクバク心肺停止状態に近づいてるぐらい隣に行っただけで、止まることは無かった。
どうにか声をかけないと、、もう後悔したくない。声が震えてでもいい。行け!

「、、、、あっ、、あの、、りんちゃんだよね。」
少し震えた。

「あ、、うん、。」
やった、、。

「田村しってる?O町でりんちゃんと同じ中学の。」
「ああ!田村ってはるなちゃんのこと?」
「そうそう!俺、高校一緒だったんだ。」
「あっそうなんだ!」「はるなちゃんとはね仲良かった。」「でもなんで知ってるんだろう。」
「ああ、あの、俺が合格決まった時に、何かね教えてくれたんだうちの中学の友達のりんって子も入るからよろしくねって」
「よろしくねって何から目線だよ」
彼女は笑って言っていた。ホントに仲が良かったのだろう。
「だよね。」
俺も笑いながら言った。

そう話しながら水道場で道具を洗い始めた。
「えっじゃあ、タクミしってる?」
「あっうん!しってる!仲良かった!」
「あっそうなんだ!」「タクミとはね幼馴染みなんだ。」
「あっそうなんだよね。」
「なんで知ってるの?」
「タクミから聞いた。」
「そっか、そっか。」
「え、じゃあ、何で通ってるの?」
と彼女の方から質問された
「本当はね自動車の免許取ったんだけど。」
「免許もってるんだ。どこの自動車学校?」
「SG自動車学校」
「同じ!」
「マジで?!そう言えばハルトが言ってたな。」
「そうなんだー。」
「そう!りんちゃんいたよって言われて探したんだけど結局見つけらんなくて。」
「え、待って、」
すると俺の顔を見て
「もしかして、大学のバッグもってた?」
「あ、うん!」
「やっぱり!私見たかも!」
「うそ?!」
「なんか、凄いね」
彼女は喜んでる顔をしていた。
「そうだね。」
やばい。多分今会話に夢中で気づいてないかもしれないけど、凄いことになってるんだよな俺ら、、、
すると、夢中になりすぎたせいか、気づけば後ろに道具を洗う人達が強烈をつくっていた。気づけば俺はまだ、水道場で水を流しながら木ナイフをあらったままだった。
そして、わかれる彼女と俺、
ああ、この時間が終わってしまう。
もっと話しを、、、、、と勢い余って
「あ、あの! 、、、、もしよかったら
よければでいいんだけど、連絡先交換してもいいですか?!」
「、、うん!是非是非!」
「あ、ありがとう!」
「じゃあ、片付け終わってからでもいい?」
「うん!分かった。」

そしてこの連絡先を交換したことによって、運命のイタズラが始まるのである。


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