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『翠真珠のころ』完結&あとがき

『翠真珠のころ』をお読みいただき、ありがとうございました。

リアナシリーズ番外編のネタがいくつかあるなか、試しにいろいろ書いてみて、この二人のお話になりました。ファンタジー色は薄くてどちらかといえば夫婦関係が中心になってしまいました。

「ハダルクとグウィナがじつは、子どもをなすような関係にある」という描写が出たのは本編の二巻。それから三巻、四巻と本編の背後でずーっと二人の物語は進んでいて、四巻冒頭の結婚式につながるわけですね。
本作を読んでいただいてから四巻に進むと、この二人と、それぞれの配偶者がその後どういう道を選んだか、わかると思います。

書かれていない部分で言えば、番外編ラストから本編までのあいだもけっこう紆余曲折あって、二人はくっついたり別れたりしていました。グウィナがゲーリーを放っておけなくて、ハダルクが愛想を尽かしちゃった時期もあったりします。ゲーリーはほんとに金遣いが荒くて生活力がなくて……。

グウィナは愛情深い女性で、それが欠点にもなるという描写は本編でもあって、今回はそれがより色濃く出たなと思います。正直、リアナふくめほかのヒロインたちだったら、ゲーリーなんてあっというまに捨てられてしまうんじゃないでしょうか。でもグウィナは、「この人には私がいないと」って思っちゃうタイプなんですよね。

でも、彼女の愛情深さに救われた人物もたくさんいて、とりわけデイミオンとフィルは、彼女のおかげで「愛情を与える」ことができる男になったのです。美点と欠点は裏表の関係にあって、そういう部分が書けたのが勝手に自己満足です。

ハダルクのほうはグウィナにくらべると複雑な人格で、根はまじめで几帳面なのに野心も強いという……。育ちのせいでコンプレックスもあり、ヤングハダルクはめんどくさい男でしたね~。彼自身が半生をふり返る第五部おまけも合わせて読むと、今回の話の補完ができるんじゃないでしょうか。

サーレンはハダルクの献身もあってだんだん回復していきますが、グウィナの妊娠時期にまたメンタルを崩してしまいます。王都の気候がよくないというのもあって、結局、北西部にあるハダルクの実家で静養することになりました。精神面の不調は、ハダルクだけが原因というわけではなく遺伝的なものもあったようです。ハダルクはその後も定期的に彼女に会いに行っていて、援助はずっと続きました(グウィナもそれを認めています)。

ドリューはその後、わりと早く西部に戻って、アマトウが抜けたぶん領主業にはげみます。デイミオンが王になってからは王都に滞在するようになりました。国王夫妻の侍医もかね、デイとは性格が合うようで楽しく過ごしています。

登場人物に関しては、そんな感じです。

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今回もどうにかこうにか、ひーひー言いながら完結できてよかったです。
さらっと読める話にするつもりが、結局いつものように昼ドラかつ重めになってしまいました。おまけに続編の伏線もしこんでしまったし……書ける見通しもまだ立ってないのに、どうするつもりなんでしょう。

まあ、お絵描きでもして脳を休めて、またじっくり考えてみますね。
毎回読んでくださったり、コメントくださったりした方、どうもありがとうございました。おかげでなんとか仕上げることができました。改稿はしたいですが、全体として、シリーズを補完するいいお話になったと思います。

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おまけ。
この二人の、本編以外のSSもあります。
【小話+CM】ハダルクのためらい
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885999373/episodes/1177354054887934918

6件のコメント

  • 連載終わったら元気出てきました! クヨクヨメソメソしてすみませんでした~!

    しなびたピーナッツみたいになってたんですけど、今なら続編書けそう! だいたいこのテンションで予告出して、使い古しの財布みたいによれよれになるんですけどね~。

    スピンオフが思ったよりたくさん読んでもらえたので、それで元気出たのかもしれません。現金だ。
  • 今回は裏話を毎回つけてたので、つけくわえることがあんまりないですね。

    ほかになんかあるかな~

    あ、ハダルクがこの頃住んでた屋敷は、ロールが住んでる家のご近所です。時期が違うのでご近所さんではないですけど。城下の便のいいところに、中級貴族向けのタウンハウスがならぶ一角がありまして、そこを想定してます。ニューヨークでbrown stoneと俗に呼ばれるような、ちょっとリッチなアパートをイメージしていました。
  • #2
    ドリューやアマトウは内科が専門です。
    青の竜騎手に外科を専門とするものはこの頃いませんでした。自分の手でメスをふるう外科は、竜の力をあつかう竜騎手にふさわしくない卑賎な仕事だと思われていたからです。この頃、外科医はおもにコーラーの仕事でした。

    のちにアーシャが外科手術をやることになって、その後は外科医の地位が向上することになります。3部以降の話ですね。

    一方で、(現実の歴史上は産婆の領域だった)産科婦人科の領域は、青の竜騎手の重要な仕事でした。言うまでもなく、少子化がいちじるしく、みながその領域に熱心だったためです。
  • うおぉ、こ、これは……
    翠真珠の番外編読了後に読むと感慨深い……

    おまけSSリンク貼っていただいて、ありがとうございます。
    探していた愛称呼びのシーンはこちらだったんですね。初めて読んだときと違って色んな背景まで思いを馳せてしまって、深いっ!重いっ!


    ハダルクとグウィナカップル好きなので早くちゃんと結婚して!と思う反面、ザーレンさんのことを考えると辛くなってしまう…

    ゲーリーさんは、金遣い荒いと言っても金持ちで金あるんだからいいんじゃない?と思ってたのですが、ナイムに良くないお金の渡し方してましたね…ダメですね。
    レへリーンと同じというグウィナの考察にすごく納得しました。悪気がないから怒るに怒れないのが最悪ですねー!


    あっ、それから、リアナ幼女化の星のベッドにちらっと出てくるハダルクグウィナが好きだったりします(^o^)


    いっぱい裏話ありがとうございます!
    全部に感想つけてるとえらい長さのコメントになってしまうので書きませんが、全部に心の中でめっちゃ感想つけてますよー(^∇^)ノ♪
  • 二人の紆余曲折……、絶対にありそう。てか、やはりあったんですね。
    だってグウィナ自身が、「猜疑と嫉妬でズタズタに」って言ってますもんね。

    細かい設定やら裏話が読めて、楽しかったです! でも、こういう細かくて地道に考えている部分が物語に厚みを持たせますよね~。

    今日も楽しませてもらいました!
  • ===========
    【連絡?】
    いつもコメントありがとうございます(〃ω〃)

    しょっちゅう書いてますが、コメントへの返信は、その方の近況ノートに書きにいってます。通知が行ったほうが見やすいと思うので。

    近況ノートを開けていない方や、時間帯的に迷惑だなとか(今は国内にいるのであまりないですけど)そういう理由でここに返信することもたまにあります。
    あとは自主企画参加のごあいさつへのお返事とかも、わざわざ通知して返信するほどではないものなのでそのまま書いてます。

    書き手の方で、ご自分の近況ノートが返信で埋まるのはイヤという場合はおっしゃってくださいね~。
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