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『翠真珠のころ』12回目 エリサの善悪

前回で、騎手団で起こっていた事件の犯人はわかったわけですが、今回、その処罰が王太子エリサによって下されます。

エリサが犯人の女性ではなくアラスター副長を罰したのは、心を病んだ女性への思いやりからではありません。文中で語っているとおりエリサには彼女なりの理屈があり、娘には責任能力がなく、また手を切り落とせば生活できないと思われたからです。一方のアラスターには、孫の母親をどうにかする責任があり(その手段の是非はエリサの問うところではない)、それを怠った罰として彼自身を罰したのでした。アラスターの立場なら、手を落としても生活に困ることはないというのも理由にあります。

エリサにはこういう、一種独特の正義感というか判断基準があって、それがうまくいくケースもあれば、のちに大きな禍根をのこすこともありました。今回の裁断は後者で、アラスター卿は娘のリアナに恨みを向けることに。

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以前も裏話として書きましたが、リアナの原型になったアイデアのひとつに「魔法使いと弟子」ネタがあり、マリウスと養女リアナのほのぼの辺境ライフになる可能性もあったのです。その際にはマリウスとエリサのあいだにラブを入れるつもりでした。マリウスがああいう性格なもので、うまくいきませんでしたが。そもそもマリウスはリアナをめぐる恋のさや当て要員になるはずだったのですが……そのためにわざわざ若返らせたのに、ぜんぜんその気になってくれませんでした。

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イラストはかなり前に書いたグウィナのイメージ。

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