実戦西洋剣術には大まかに2種類ありまして、素肌剣術(甲冑を付けないので全身どこでも有効)と甲冑剣術(甲冑着てるのでその隙間しか有効打にならない)があります。普段僕がやってるヘヴィファイトはその中間で、「革鎧と鎖帷子を着ているので、装甲部位でも"強打" すれば有効」というルールです。
昨日はソフトソード(塩ビの芯にクッション巻きつけた剣)の練習をしてきました。素肌剣術ですね。これが中々楽しくて、普段甲冑着てる時より素早く動ける上に全く疲れないので、一時期なろう系で取り沙汰された「甲冑を脱ぐと身軽になって強い!」という論も一部頷けるなぁ、と思った次第です。
でも戦場で「甲冑脱いで騎士と戦って来い!」と言われたら僕は拒否します。こちらは甲冑脱いでるので「全身どこでも有効打」なのに対し、相手の騎士は「甲冑の隙間しか有効打にならない」のです。圧倒的不利です。
「でも素早く動けるんだから一撃離脱でチクチク戦えば良いのでは?」と思うかもしれませんが、そも騎士がやる甲冑剣術とは「甲冑の隙間を隠しながら戦う」のでまず有効打取るのが難しい上に、こちらの攻撃を甲冑で無効化しながら力押しが可能なのです。大抵の場合、こちらの近接攻撃が届く距離は向こうの近接攻撃も届きます。よって一撃離脱の「一撃」を当てる瞬間は向こうの攻撃も飛んで来ます。しかもこちらの攻撃を無効化しながら力押ししてきます。
こちらは素肌なので、切っ先が触れただけで出血、深ければ身体障害or欠損確定、当たりどころが悪ければ致命傷です。つまるところ「甲冑脱いで騎士と戦って来い!」という命令は「1発でも当たれば身体障害以上確定の状況で、こちらの攻撃の大半を無効化する奴らと戦って来い!」という事を意味します。余程その戦法に合理性が無いと頷き難いですね。
……長々と述べましたが、別に件の論を批判したい訳ではないです。だって甲冑重いんだもん。暑い!重い!疲れる!命の危険さえ無ければ脱ぎたいよ!
では命の危険も無いのに甲冑着て練習してる我々は気が狂ってるのではないか?と、ソフトソード練習で思った次第です。たまに気が狂うと楽しいのは事実なんですけどね。
画像は昨日新しく買ったガントレットです。甲冑着るのは気狂いの類と認識しているのに何故か甲冑が増えるんです。怖いですね。