こちらの無配版をお読みいただきありがとうございます。二〇一七年の秋から約一年かけて完成した、長編ミステリーの冒頭部分になります。
続きが気になった方はぜひ購入して続きをお読みいただければと思います。
A5二段組、三六六ページ。二十五万文字にも及ぶ大作でございます。小説書き経験は長いのですが、今まで書いたものの中で最も長いものになります。
歴史創作や二次創作などのジャンルにいたのですが、正直なところ、二次創作や歴史のように前提を共有している著作と違って海のものとも山のものともつかぬ、創作ミステリー。しかも鈍器サイズということで、売れ行きは芳しくなく。
皆、厚さでビビるようです。
とは言え、上下巻ではありませんし、読み始めたら一気に読めるはずです。よろしくお願いいたします。
もともと社会学部にいて、その後、歴史創作などをやっていた自分としては、自分の生きた平成という時代を、歴史創作で培ったノウハウで書いておきたかったのです。
今まで、歴史創作において資料の何千円もする本が買えず、ひたすら図書館でコピーしまくるとか、図書館の資料室にポメラ持ち込んでそこで書く、みたいなことをしていたのですが、九十年代の資料はアマゾンで大体一円。送料のみでまったく財布は傷まないのとは逆に、そんな本で部屋が埋まり。
当時の知識人の本はそんな風な値段で買える一方、女子高生の文化の資料は散逸していて、手に入りにくい状態になっていました。
ギャル雑誌と言われたものは、担い手にアーカイブ文化がなく、文化的価値も低いものと見なされたためでしょう。
Eggを読むために国立国会図書館に行ったのは良い貴重な経験でした。Egg以外の雑誌は公的な機関には保存されていないようです。
カナとミヨリがいかにもギャル!という風貌をしていないのは、援助交際に手を出していたのは派手な容姿の子に限らなかったこと(ヤマンバなどと言われた派手はメイクは、援交オヤジやキャッチの目を逃れるために始まったとも言われています)、同人誌即売会に来る読み手から遠い存在にしたくなかったこと、などもありますが、当時の若者文化の記録そのものが少ないから、というのもあります。
この世代の人も、若い方も、あるいはもう少し上の方も、この決してハッピーエンドとは言えない物語で今一度、時代を問い直してはいかがでしょう。
もちろん、ミステリーとして純粋に読んで頂いても結構です。