プロアマ関係なく、かつ、物書きだけでなく創作全般に言えることなのですが、自分の言いたいことや考えていることが強すぎると相手(物書きの場合は読者)を置いていきぼりにしがちです。
ありがちな例として、こんな女性同士の会話をイメージしてみてください。一方はダーとしゃべっている中、聞き手の女性は「うんうん」「わかるわかる」を連呼している光景です。喫茶店なんかで遭遇しませんか? 一方は自分の言いたいことや考えている事を吐露しているだけ、聞き手の女性は意見や感想を求められているわけではないので相槌以上の事ができないわけです。そんな会話面白いはずはないですよね。
小説もしかり。一方的な話や考えを持つと読者に押し付けがちになります。もちろんそういう「語り」は重要ですが、四六時中やられては読者は何が大事なことなのかを見失い、結果として物語からパージされてしまいます。
あなたが一生懸命書いたわりに読者の反応が芳しくないとき、自分語りに終始してしまって読者を振り落としていないかを再確認してみるといいと思います。所詮は人間。会話やストーリーが真面目なだけでは飽きてしまいます。ボケとツッコミ、適度なジョークや皮肉は読者を再度こちらに呼び寄せるスパイスのようなものなのです。
このような文章や会話に隙を作る事によって、作者の前のめり感と読者離れは回避できる可能性が高くなります。みなさんの大半は小説を主戦場にしているでしょうから「テンポ」という単語に置き換えれば納得できる余地が増えるかもしれません。
逆に言えばこの文章のような「こうあるべき論」の場合は隙があってはいけないということにもなります。一貫した主張や反論を塞いでおく(あるいは曖昧にする)技術がいるのですが、これはまあみなさんには不要な力でしょう。
話を戻すと、文章に緩急をつけるのは話を作る力とも文章を書く力とも違う第三の能力なります。誇張すると技術というより演出力・政治力という分野になるかもしれません。これを鍛えるにはまったく違う能力や環境が必要です。
しかしながら隙を作るくらいのレベルであれば練習すればいくらでも習得可能です。長い連載モノを書いている人には必須な能力ですので、長編の小説やアニメを見て「緩急」を研究してみるのが一番面白いと思います。
最近、話を作る力、文章を書く力について言及する機会がありましたので、その先についてを語ってみました。長編書きの方の参考になれば幸いです。