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批評を書ける能力

※「わたしのセメタリー」という駄文を書いたり没作を載せたりしている読み物がありましてそれ用に書いたのですが、近況ノートに移します。単なる気まぐれです。

 カクヨムには「批評を書きます」「感想を書きます」という自主企画がありますし、企画の参加作品に批評とは言わずとも感想を書きたいシーンはいくらでもあるのではと思うのですが、皆さんはそもそも「感想」「批評」についてどんな基準を持って書いていますでしょうか。

 わたしは感想については、「表面的なもの(作品内容)について言及する(主に褒める)」をメインにしています。これはまぁみなさんもそんなに変わらないのではないでしょうか。物語のここは良かった/素晴らしい/感動したなど表面に出ているものについて感情をこめた表現で書くということですね。

 一方、批評については「深層的なもの(作者の意図や想い。作品に向き合う態度など)について言及する(肯定否定の割合を勘案しながら)」というのがわたしの基準になります。ですので「批評を書きます」というのは、結構な経験と力量が必要なんですね。そのあたりを、感想と批評をごっちゃまぜにしているレベルの人も含め、理解してない方が多いなあと感じております。

 たとえばわが子たちが幼稚園児くらいの頃の話をしますと、上の息子が積み木遊びしていて急にわたしを呼ぶんですね。「どう! すごいでしょう!」って。その時彼が得意げに言いながらわたしに求めているのは、「結果に対するすごさ」なんです。だからわたしは、「すごい! かっこいビルだね!」なんて褒めるわけです。それは彼が「すごい積み木のビルを作ったことをママに褒めてもらいたい!」という気持ちをわたしが知っているから、そう対応できるわけですね。
 一方下の娘の場合、同じように積み木遊びをしているときにわたしを呼びつけて「どう? すごいでしょう?」という場合は、彼女が「あたしはこれだけ苦労したのよ!」ということを褒めてほしいときなのです。当然わたしは彼女に「ここまでよく頑張ったね」とその過程をねぎらうわけです。まあ、子を持つ親でしたら「わかるわかる笑」というレベルの微笑ましい話ですよね。

 このたとえで申し上げたいのは、批評には「相手がどこを褒めてほしい/どう考えているのか」を把握できる能力が必要だということです。もちろん書いている相手は幼稚園児ではありません。大人に対してです。ですから、文章を(読まずとも)ぱっと見て、「子どもたちがどういうところをどう考えているのかがわかるレベル」で、把握できるだけの経験と力量がないと、批評なんていうのはただケチをつけているだけかまったくお門違いな話を一方的にしているだけになってしまうわけです。少なくとも批評された相手にはまったく通じませんよね。

 この「ぱっと見てわかる」力というのはどうすれば身につくのかというと、ひとことでいえば年季なんですね。子のいる親でなければさっきの積み木遊びのたとえが真に理解できないように、どれだけ自分自身が批評されてきたか、批評できるだけの勉強と経験をしてきたかなんです。なので結論としては、「人間ですから他人の作品を批評したくなる気持ちは理解できるのですが、それはしないで感想レベルで留めておいた方がいいですよ」ってことなんです。
 ここまで説明した必要要件を満たしていない人が書いた批評を見ると、わたしくらいの悪辣な人間はその批評に対して「ぱっと見てわかる」力を使って、その批評に被せていくわけです。「そもそもどこを見てそう考えたんですか?」なんて相手がそんなことを考えてもいないのを承知の上で問いかけて、相手がしどろもどろに釈明をした内容の矛盾をひとつひとつ指摘して……おっと、これくらいでやめておきましょう。

 もちろんわたし自身もまだまだな人間で、人様の作品をそんな偉そうに批評できる資格があるとは思ってはいませんが、少なくともある程度の年季があるので、ぱっと見ればわかるものはわかるのですね。なんせカクヨムだったらすぐにBANになるような批評どころが弾劾を何年も受けながら書いてきましましたから。

 あと余談ながら、わたしの定義する「感想」に対して褒められなかった/けなされた場合については、別に気にしなくていいです。それよりも自分の作品に対する向き合い方の方をしっかりとチェックしましょう。わたしもたまに話の内容の(その人にとっては)おかしな点をやんわりと指摘されることがありますが、そんなのはどーでもいいことです。感想なんていうものは主観的ですから応じていたらキリがありません。大事なのは自分の作品に対する自身の考えや想いなのですから、そっちがブレた方がカッコ悪いくらいのプライドを持って今後も書かれればよろしいかと思います。

※昔鬼編集にボツくらって書きなおそうとしたら、「なんですぐ書き始めた?」とか言われて、「( ゚Д゚)ハァ? おめえが書き直せっていったからだろうが!」なんてキレてたのですが、奴は「きちんと作品のそもそもから考えろ」ということを言いたかったんだと思います。今では理解できますが、当時はお互いに若くて言葉足らずだったので、喧嘩ばっかりしてましたね笑。(2024.9.19)

5件のコメント

  • こんにちは。その後、お身体の調子はいかがでしょうか?
    感想、特に批評は、相性のようなものもあると思います👀

    最近、お友達が受けた批評について、「そうじゃ無いんだよ」的な事を仰っているのを耳にしました。
    ……簡単そうで簡単にできる事では無い、というのはすごく思います(子育ても😂兄弟でも違いますからね)

    私は批評では無いですが、読んでいて「ここをもっとこうすれば良くなりそう」と思ってしまう事は時々あります。
    でも、好みの問題なのかな。これは犀川ねえさんの言うところの「感想」ですね。

    占いと同じで、自分にとって必要な事だけ取り入れる……で良いと思いますッ。ヒニヨルはそうしています‼️
    ( ー`дー´)キリッ
  • コメントに納得する部分が多いです
    同感です!!
  • その通り過ぎです。
    エッセイは批評が欲しいですが
    小説の方は感想というか
    文章読んで思ったことそのままの言葉が欲しいです。
    実際問題、公開して期待する感想って
    ここ(気合い入れて書いたシーン)面白かったとかですし(笑)
  • 批評は熟練の技術なんですね……。
    せっかく褒めて貰ったんだから、素直に喜ぶべきでした

    今から喜びます。褒めて貰った!! やった!!
    すごく大変だった! 謎の作品組み立てるの!
  • おっしゃるとおり。
    分析、評論、批評。そんなだいそれたこと、とてもとても。
    おいそれとできることではありません。
    できることといったら、せいぜい一生懸命読んで、褒めた感想を書くことくらいです。
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