風間えみ

新卒内定の不渡りで、実夕の世界は止まった。 色のない毎日。 天井から落ちてくるのは、二階の住人が叩き鳴らす音ゲーの音だけ。 苛立ちも羨ましさも混ざるその音が、 やがて実夕の止ま…

森に棲むタヌキの妖怪・紫苑は、 迷いこんだ異国の少年・マシューと出会う。 孤独を抱えた二人は、互いの欠けを埋め合うように心を寄せていく。 けれど、その優しさが、やがて彼らを別の…

神の怒りを鎮めるため、十歳の少女・紗枝は“巫女”として山へ送られた。 そこにいたのは、神ではなく――片角の鬼。 鬼は言う。「神隠しも人さらいも、熊の仕業だ」と。 村に戻れず、…

生まれてくるはずだった“フクロウの子”は、誰にも気づかれず幽霊になった。 それでも家族を呼び続ける――届かない声を枯らしながら。 「ねえ、お母さん。僕を見てよ。ここにいるんだよ…

泣けない魔女と、泣かせてあげたい魔女。 ふたりのあいだに生まれた小さな奇跡は、呪いでも、祝福でもなかった。 これは、心を少しだけやわらかくする“やさしい魔法”の物語。

北の果ての氷の国を温めてくれたのは――情熱が行きすぎた氷の女王だった！ 彼女の夢はただ一つ。「最高の氷の彫刻を作りまくりたい！」 そんな日々の幸せは、ある日アザラシの大群によって…