※最後にちょっとした企画のお知らせあります!
Vオタを読んで応援してくださっている皆様ありがとうございます!
おかげさまで目標①ブクマ500、☆100、♡1000を超えることが出来たので、記念SSをお届けします!
これからも、頑張って更新するので、ブクマや☆、♡、感想などで応援していただけるとうれしいです!
次は目標②ブクマ1000、☆300,♡2000目指して頑張ります!
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おっす、オラ、更科夏輝!
その日、俺はこっそり部屋でとある動画を見ていた。
「夏輝……だ~れ? この女」
俺の目ではなく、首に両手があてられ姉登場。
おい、DKの部屋に勝手に入ってくるなよ、姉。
「大丈夫よ、夏輝の肌色本の位置は把握してるから」
大丈夫とは?
そういえば、一部姉弟でアレな本があったけど、お前の仕業か。
更科春菜。
黒の魔女と言われ、固有スキル【蒐集家】を持つ姉は、俺のモノコレクターであることはもう把握済だ。だが、俺のコレクションを差し替えているとはこれいかに?
「で? 誰、この女?」
嫉妬に狂う女のように、俺の耳元でヤンデレASMRが展開されております。
マジでわからん。
なんで、こんな黒髪美女で中高生徒会長、更に、ミスコンで一位を取るような姉が変態な弟をこんなに溺愛するのか。
ぶっちゃけ、首をきゅっとしかけてる手も小さくて柔らかくてまいってます。
あ、ちなみに変態と名乗っているが、俺は真性の変態ではない。
それは俺のモノコレクターのこっち(姉)と俺の盗撮マニアの妹と、どどどSM両親と、自称幼馴染の妄想スポーティー美少女と露出姉妹と隷属エリート女子と、眼鏡と、俺の黒歴史厨二病時代狂信者共とぶたれたい勇者たちのことだ。
つまり、俺以外だ。
俺の固有スキル名が【変態】なだけで俺はまともだ。
信じてくれよ!
姉さんが異空間から取り出した短剣で俺のPC画面を破壊しようとしたので、〈|紅の蜥蜴飛蝗《クリムゾンリザードホッパー》〉の甲殻で止める。
「姉さん、やめてよ」
「……! それは私のあげたあの漫画の12ページ目の四コマ目の弟の台詞ね」
怖すぎるんだが。
どの漫画かわからんが、とりあえず、弟が馬乗りになられていそうで怖い。
そういや、馬乗りになられたことあったなあ(第24話参照)。
「説明するから。この人はVtuberの高松うてめって人」
「その高松うてめ……今の一発で……覚えたぞ」
どこのサライのキャラバンよ。
『てめーら、たかまつてる? 緑の女神、高松うてめです』
高松うてめ。
今、大人気Vtuberで俺も注目している。
緑髪に、緑の瞳、身体に女神みたいな衣を纏い、茨を巻いたファンタジーな存在。
歌も演技も上手いしトークも面白いと評判のVtuberだ。
だが、俺の注目ポイントはそこではなかった。
画面の美しき女神さまが口を開く。
『さて、じゃあ、弟の話するね』
〈キター! ウテウト!〉
〈スパブラウテウト参戦!〉
〈ウテウト伝説再び〉
このVtuber、弟激ヤバ溺愛系変態姉Vtuberなのだ。
は配信中、実家から持ってきた俺のお下がりを着ていて、俺に似せた人形を隣に置いて、いつの間にか録音していた学生時代の俺の声を聞いてから配信を始めるらしい。
クリスマスには弟に構ってもらえなかったからということで弟の幻覚を見ながらラブラブ配信を行っていたヤバすぎるVtuberなのだ。
だから、どちらかというと、俺はこの高松うてめの弟、通称、ウテウトを見てひとりじゃないと涙しながら心の平穏を保っているのだ。
画面を見つめる俺に姉が後ろから抱きついている。
おい、姉貴、お前、胸デカいな。
姉貴は俺の首筋に顔を近づけ匂いを嗅ぐ。
あ、これ知ってる。
犬がやるマーキングだ。
あと、姉からすごく良い匂いがします。艶やかな髪が鼻先をくすぐり、柔らかな感触が背中に押し付けられている。
俺の肩に顎を置いた姉は、俺を抱きしめたまま、俺の耳に囁く。
「弟囁きASMR希望」
いや、俺が囁くんかい!?
そう呟いた姉の頬が俺に触れる。めっちゃ熱いめっちゃ熱いぞ姉!
俺の弟溺愛変態姉と、ウテウトの弟溺愛Vtuber姉の違い。
それは、ウチの姉の方が直接攻撃に弱いってことだ。
よかった、俺はまだマシだったんだ。
それにしても、なんで女子ってこんないい匂いがするの?
主食、花?
俺が姉の方に意識が向いていたら、姉はまた何かを取り出した。
それは、大きな本だった。
姉はパラパラとその本をめくった。
え? まさか、それは……。
「13ページ目の……」
「姉さん、やめてぇえええええええ!」
お前、SSだからって何やってもいいわけじゃねえぞおおお!
「夏輝、それは2コマ後の台詞だから」
おい、俺未来予知できるぞ! このあと、見せられないよになっちゃうんだぜ!
トんじゃうぜ、ボイーンゴってな!
信じてたぜ! いや信じたくねえぜ!
くそう! 姉の性格がそんなに簡単に変わって成長できるなら苦労はしねえぇんだけどなああ!
せめて、このヤバすぎるVtuberの姿を見て、自身の行いを反省して欲しい。
『今日うてめはね、漫画も紹介しようと思ってるの。これ、夢見きらりの【おとうとうとうと、ねえさんねえねえ】これは姉の純愛すぎるが故の行動を素敵に描いた作品で……』
「……! この、漫画って……」
ひ、
ひぃいいいいいい!
姉さんが手に持ってる漫画とうてめが紹介した漫画が完全に一致なんだが!
っていうか、またテメーか、夢見きらりぃいいいいい(20話参照)!
っていうか、これ同人の誌ぃいいいい!
コミケばんざぁあああああい!
だが、
テメーは俺を怒らせた! 夢見きらり!
「このVtuber、推せるわ……先生と呼ぼう。じゃあ、夏輝、私と一緒にうてめ先生の弟溺愛講座を見ようね……」
ここで問題だ!このえぐられた足でどうやってあの攻撃をかわすか?
3択―ひとつだけ選びなさい
答え①変態の夏輝は突如反撃のアイデアがひらめく
答え②仲間がきて助けてくれる
答え③逃げられない。現実は非情である。
絶望!突きつけられた答えは③ッ!現実は非情なりッ!!
が、がんばろうぜ、ウテウトさん……俺も、がん、ばるっ……
まあ、でも、
********
『というわけで、うてめの為に漫画飯を再現できるウテウトに漫画しーんを再現してもらうわ』
〈さすがうてめ様〉
〈てめーらは弟溺愛うてめ様を応援します〉
〈ヒャッハー! 最高に脳が破壊されるぜぇええ!〉
俺、天堂累児は震えながら姉さんである天堂真莉愛、Vtuberとしての名は高松うてめの配信を見ている。
いや、恐怖しかないんだが?
アイドル声優として華々しいデビューを飾るはずだった姉さんの美貌とはいえ、幼い頃からヤンデきあいされてきた俺にとっては恐怖だ。
っていうか、本当に俺はVtuberとは誰ともそういう関係になるつもりはない。
力になるべく魂の皆さんのご飯を作ったり、相談に乗ったりしたが、それはお付き合いしたいわけではない。そういうのいいからてぇてぇ配信してくださいって事~!
高松うてめのファンであるてめーらの盛り上がりが怖い。
まあ、俺もてめーらだし、弟本人でなければ、笑ってたけどわらえねえ。
と、その時、流れてくるコメントが目に入る。
〈変態弟:ウテウトさん見てますか? 俺は貴方を応援します! ファイト!〉
変態弟さぁああああん!
俺宛のコメントのしお分が目に沁みた。
まあ、でも、
「「昨日はすごい姉さん、」」
「配信頑張ってたしな」「ダンジョン頑張ってたしな」
Vtuberの一日はハードだ。
上級冒険者の一日はハードだ。
配信だけじゃない。配信外での準備や他の仕事だってある。
ダンジョンの攻略だけじゃない。冒険者として協会に頼まれる活動や学校だってある。
だから、
「「今日くらいはやさしくしてあげるか」」
それをしたせいで姉の溺愛がひどくなることを俺達が後悔するのはすぐそこだ。
◆
告知です!
明日Vオタ特別編24時間配信風小説更新を行います!
うるさくしてすみません!
2~3時間毎に更新予定です!
これからもVオタや変態等だぶんぐる作品の応援よろしくお願いします!
※一応の注釈
『Vオタ』は『変態』の世界観である固有スキルなどがない世界です。
ifストーリー程度におたのしみください。