『何故かの』読者の皆様。
あけましておめでとうございます。
出井愛です。
去年は『何故かの』が書籍化されたりと、これも全て応援してくれた皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。
今年はウェブ版『何故かの』と共に、書籍版『何故かの』の方も力を入れていきますので、どうぞ新年も皆様の応援宜しくお願いいたします。
『何故かの』新年特別SS「煩悩と除夜の鐘」
スカァ~ン♪ スカァ~ン♪ ← 除夜の鐘の音
「朝倉さん!」
「安藤くん!」
「「新年、あけましておめでとうございます」」
「ウフフ、今年も無事に新年を迎えることができたわね♪」
「朝倉さん? その言い方だと、まるで俺達二人が毎年、年を越すたびに何かしらの危機に瀕しているように聞こえるんだけど……?」
「あながち間違いじゃないでしょう? だって、私達って大学に入ってから同棲している所為でお金が無いから、年越しはいつも金欠状態でしょう」
「うぐっ! そ、それを言われると何も言えない……」
「それに、今年は大学四年になって最後の年越しだっていうのに、安藤くんが卒論をいつまでも書かないなら留年の危機になっていたし」
「その件に関しましては誠にご迷惑おかけいたしました!」
(だって、だって……卒論のテーマが『友達』だったんだよ!? 『彼女』とか『おっぱい』とか『壁』ならいくらでも書けたけど、こと『ぼっち』だった俺に対してこのテーマは鬼畜過ぎるだろ!)
「でも、最終的には卒論も出せて、二人とも就職が決まったから許してあげるわ♪」
「はい、ありがとうございます……」
(なんだろう。俺のこの既に尻に敷かれている感は……)
「あ……除夜の鐘が聞こえなくなったね。朝倉さん」
「そうね、安藤くん。そういえば……除夜の鐘には煩悩をはらう意味があるのよ。
ウフフ、安藤くんは去年の煩悩はちゃんと払えたかしら?」
「うーん、そうだねぇ……」
(そんなことを言われても、俺達ってついさっきまで煩悩にまみれたことしかしてなかったわけで……)
「去年の煩悩は払えたけど、さっそく新年の煩悩が芽生えちゃったかな♪」
「ひょわ!? あ、安藤くん! ま、まだするの……? って、ちょっと、布団がはだけて寒いからあんまり動かないで――ひょわぁああ!?」
スカァ~ン♪ スカァ~ン♪ ← 除夜の鐘の音