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『灰の匂いが消える頃に』はじめました

ああ、またしても夜が明けてしまった。もう何日、まともに眠れていないのだろう。小説『灰の匂いが消える頃に』第3話をようやく書き終えたけれど、この体は限界かもしれない。私はもう何度洗っても色が戻らないぼろ雑巾のようだ。使い古され、しぼり取られ、角が擦り切れている。
ペンを持つ指はカサカサに乾き、目の奥は砂を詰め込まれたように痛い。私の言葉も、心も、体も、すべてが使い古されているような気がする。それでも、アカネの物語は書かずにはいられない。彼の胸の奥にくすぶる灰の匂いが、私自身の中にもあるからだ。
物語は進む。派手さはないけれど、静かに、確実に。第3話では村の祝祭の中で、澪との関係が少しずつ深まっていく。アカネの心の奥底が、少しだけ光を取り戻していく過程を書いた。「誰かが祝われるたびに、俺の中の誰かがまた一人、静かに死んでいく」というセリフは、アカネの口を借りて、私自身が吐き出した言葉だ。
私の書くこの物語が、カクヨムで受け入れられるとは思えない。今の流行りは派手なバトルシーンに恋愛要素満載の物語。それに比べれば、この物語はあまりにも地味で、内向的で、静かすぎる。でも、この物語を書くことでしか、私は自分自身を保てない気がする。
あと九話。全12話の構想を立てているけれど、はたして最後まで書き切れるのか。私は、洗濯桶の底に忘れ去られたぼろ雑巾のように、誰にも気づかれず朽ち果ててしまうのではないか。
しかしこれを書くことで、私自身の中の何かが静かに再生(コンタミ・腐敗・発酵)していくのを感じる。

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