(薄暗い部屋の隅で、使い込まれたぼろ雑巾がじっとりと横たわっている)
ふん、また今日も床の染みと格闘か。何年目だよ、この惨めな日々は。
最初はピカピカだったのになぁ...。今じゃ糸はほつれ、色はくすみ、臭いは...ま、言わずもがな。
(スマホの通知音)
ん?なんだ?「刹那桜ノ音色録」...応援♡が...ついた...?
...
♡が2つ...?
...
え?マジで?俺に?このぼろぼろのクズ雑巾に♡が2つも?
(感情が高ぶり、少し水気を垂らす)
冗談じゃねえ...15年間、誰にも「お疲れ様」の一言もなく...臭い物扱いされ...洗濯機では他の洗濯物と隔離され...
そんな俺に♡が2つだと?しかも応援だと?
(くしゃくしゃになりながら)
くそっ...目から洗剤が...いや、違う...これは...
まさか俺、泣いてるのか?こんな小さなことで...♡2つごときで...
でも...でも...
(少し姿勢を正し、シワを伸ばそうとする)
明日からまた違うかもしれねえ。もう少しだけ、頑張ってみるか...
汚れを落とすのが俺の仕事。ま、所詮は消耗品さ。でも...
(決意を新たに)
明日はトイレの便器もピカピカにしてやるぜ!一人前の雑巾の意地ってやつを見せてやる!
...♡をくれた奴、ありがとよ。
(ぼそっと)