大楽は右手だけで月山堯顕を持ち、もう片方で脇差を抜いた。銘は相州廣次。寺坂の遺品の中から勝手に失敬したものだった。
 二刀に構えた。素足を砂浜に埋め、しっかりとその感触を確かめた。
 砂浜で良かった、と大楽に思った。叔父の紹海が与えてくれた萩尾流は、足場の悪い場所でこそ、その真価を発揮するのだ。
 大楽は腰を落とし、丹田に気を込めた。椋梨の笑みが、真顔に変わった。
「殺せ」

今回更新分のチャンバラは魂を込めて書きました。
描写というより、そこに込めた精神という意味で。
萩尾大楽も一個のキャラとして、成立した気もします。
欲海はもうすぐ完結。エピローグを含め、あと三回(更新が三回ではない)です。ようやくここまで来たなって感じです。

あと、今月はオール讀物の締め切りがあるので、明日からそっちに注力します。
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