• 歴史・時代・伝奇
  • 創作論・評論

筑前筑後通信(314)「独狼の雷蔵 無頼行脚」は実験の場の巻

こんにちは、筑前筑後です。

現在連載中の「独狼の雷蔵 無頼行脚」ですが、この作品を僕は時代小説の実験の場にしております。

つまり、書きたいものを書く場、です。

ジェイソ……いや、邪意尊という怪物を登場させ、また最新話(第七回)では妖神という精霊のような存在も出しました。
これは言わばファンタジーですが、そうした伝奇的な側面を待たせつつ、正統派の時代ものを書けるかどうか。現在はこれに挑戦しています。

ただ、自分の中でルールも設けています。

1:妖怪(妖神)は、人間世界の争いに介入しない
2:雷蔵が妖怪(妖神)に遭遇する時は、常に一人
※仁平太に憑いた邪意尊は除く

まず1をしちゃうと、物語が破綻しそうですし、展開が難しくなる。
そして2は、ファンタジーを現実のものかどうか、「?」をつけたいが為です。
雷蔵が一人で見ただけなら、彼自身がイっちゃってるだけの可能性もありますから。
ただでさえ、人を殺し過ぎていますので、幻覚を見ても不思議ではない。
現に、雷蔵は父親と


「見たのか」
 清記が、小弥太の額に手拭いを当てた。汗が酷かった。夜着は汗でじっくりと濡れている。
「……はい」
「そうか、お前も」
「父上も、亡者を見るのですか?」
 そう訊くと、清記は深く頷いた。
「そうだ。この父もお前と同じ長い夜を過ごしている。だから気にするな。相手にせずともよいぞ」
※狼の裔 第二章第五回より


などという会話をしています。
これは暗に、人斬りの宿命を示しているんですよね。

亡者や妖怪が見える事を、現実なのか妄想なのか、断言はしたくないんですよね。


という事で、今後もちょくちょく伝奇要素を入れて行きますので、よろしくお願いいたします。



追伸

宇津藩で、〔邪意尊〕と呼ばれる妖憑きになった仁平太を屠った平山雷蔵は、その埋葬まで付き合った後、

というのは伏線ですぜ。ふふ

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する