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読んでみて欲しい本!

 久々に一気読みしました!

「傲慢と善良」辻村 深月著

 内容は、婚約者の失踪から始まります。
 主人公がストーカーにあっていたヒロインを探すうちに相手の過去の婚活が見えてきて、というミステリー。ありがちなストーカーや婚活問題を書くのかな、と思えば、それを通しての登場人物たちの日常の中の「あるよね」的な、もやっとする言動を表にして、それが随時、突き刺さりえぐってくる。

 著者は昔から特に女子の日常の会話など、もやっとした感情だけどそのまま忘れていた、というのを露わにして言語化するのがすごくうまくて。(著者が)結婚してそれが落ち着いたのかな、と思っていたら久々のえぐる辻村ワールド全開の話でした。(気持ち悪い怖いとかではなく、「あるわー」というのが突き刺さる)

 失踪のタネ(ネタ?)も、冒頭のヒロイン像も、最初に読者が感じた通り。
文章を読んでいるうちに、そのミステリーも随分穴だらけと感じるのも、そのヒロインを読めば一致。失踪原因を明かす場面も、まさに!という感じのうまさでした。

 amazonの評価では、世代、性別、環境によって印象が分かれると思う、書かれているように人によって「何にも感じない」、「えぐる」とわかれると思う。
 「日常の中で出会い結婚して家庭を持って」と流れるレールに乗れた人は主人公たちが出会う「登場人物たち」のように、主人公たちの苦しさや違和感、葛藤を別世界のように全く何も感じないかもと思いつつ。

 ラストはきれいにまとめてきたな、と。
 あれだけなことがあったのに少しきれいにまとめすぎと思ってきたけど、この二人は「似た者同士」だから、と思えばしっくりくるのかなと。
 そう言えば宮本輝が「命の器」で、人は自分と同じ器の人しか付き合えない、と書かれていたのを思い出しました。

 とにかく前半が、引き込み迫力がすごいので、図書館でぜひ読んでみてください。(人気作家なのであるはず)
 読んでみた人にどう感じたか、聞きたいと強く思う話でした。

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