【朝凪、舵のまにまに】お読みいただきありがとうございました。
企画に乗っかるかたちで書き始め、一度解体、再構成を経てギリギリの中書き切ったのですが、たくさんの人に読んでもらえて幸せな作品でした。
というわけで、恒例のあとがき兼ひとり反省会をします。
★経緯説明
Xでは話しましたが、私の祖母の家が能登半島にあり、2025年はじめに公費解体されました。私は作中のふたりのように子供時代の豊かな思い出があるわけではなく、片付けにも行っていません。輪島塗をはじめとして、古いものをいくつか引き取っただけです。
それでもそうしていると、なんとなく自分の中に残っているものをかたちにしておきたいという思いが強くなり、受け取ったものたちをモチーフに書いてみたいと思っていました。
本当は、この作品は能登つながりでスズトウシャドウさんで印刷して本にしたいと思っていました。でも私がのろのろしていたせいでスズトウさんは事業終了が決まってしまいました。
悔しい~と思っていたところ、文披31題のお題募集を見て、そうだこれに乗っかって書こうと思い立ちました。文披の企画は以前から知っていたものの、一ヶ月間書き続けるというハードルが高く尻込みしていたのですが、そのハードルの高さを利用して書き切ってしまおうと考えたのです。
★反省会
はじめ、この作品はもっと私の個人的な話になりそうでした。作中には牙が折れた象やカメオのネックレスが出てきますが、あれは実際に私が引き取ったものです。他にもいくつかあるので、それらに沿ったオムニバス形式、少し不思議でほっこり系を考えていました。
でもそれで31日間書くのは難しい……ということで生まれたのがみなみとヒロのふたりです。距離感バグってる男女を書いてみようとふと思い立ちふたりのキャラができました。そのおかげで物語の方向性が大きく変わり、読み物としては良い結果につながったと思っています。
最初はもう少しわかりやすい着地点へ導くことを考えていて、みなみに特技を持たせてヒロの写真でバズって配信者として成功していくパターンとか、東京に帰らずそこで暮らすと決めるパターンとかいろいろ考えましたが、結局こうなりました。距離感バグに関しても、おじいちゃんとおばあちゃんは実はイトコ同士でヒロだけそれを覚えてる設定とか、何も知らないみなみが夜「一回寝てみる?」って声かけるルートとか考えたけど全部なくなった話。
以下反省点箇条書き
・主軸のブレと書きたかった部分の不足
「おばあちゃんの姿に関する謎解き、微ホラー」「ふたりのメンタルケア」と主軸が二本あったのですが、メンタルケアの部分を書くのが結構楽しくて、もう一方がおろそかになりがちでした。
また、そのおかげで本来書きたかった能登の情景もかなり削ることになりました。これって「地震で崩れて解体することになった家の片付け」って部分の設定いるのか?と思うこともしばしば。突然ぶっこまれた能登要素も多かったので、これが反省点。
・解像度の低さ
上で「本来書きたかった能登の情景」と書きましたが、ぶっちゃけそんなに知らない。もちろん縁もゆかりもない人よりかは知ってるけど、大人になってからは数えるほどしか行ってないのでよくわからん。あと「片付け」の部分も親や伯父伯母の話聞いてるだけなので解像度が低く、ふわふわした感じになりました。結局それらはサブ要素になったのでふわふわ描写でもなんとかなったのがラッキーでしたね。
・年代のズレ
みなみとヒロの年齢ははっきり決めてないけど、おばあちゃんやその子供たちの生まれ年は一応決めていました(思い出要素を書くには必要なことなので。あとヒロの本名も決めてない)。私の祖父母は戦時中の生まれなので時代の感覚やあるもの・ないものがちょっとズレてたなあ、と思います。
・実際の場所、日時を舞台にすることの難しさ
作中は2024年7月7日~7月19日までの設定です(確か)。「三日月」というお題があったのでそこから日付が決定しました。実際にある場所、過去の日付なら整合性をとらなければと思って過去の天気や日照時間を調べられるサイトで確認しながら書いたのですが、難しかった。一次創作って好きなタイミングで風を吹かせたり雨を降らせたりできると思っていたので、「この日は雨だから外に行けない」「言うほど暑くないからそんな描写できない」という制限がある中書くのは大変でした。まあ面白さもあったけど。
★終わりに
そういう訳でいろいろ反省点はあるものの、同じくらい「ここはよく書けたぞ!」「このお題消化方法は良かったぞ!」と自画自賛したい部分もあって、楽しい一ヶ月間でした。
最初の方向性で書いていたらエッセイ要素が多くなっていたと思うので、きちんと「物語」にできたのが一番うれしいです。宝物のような感想の言葉もたくさんいただきました。
ありがとうございました!また次でもよろしく!