• 異世界ファンタジー
  • SF

絶滅のオブイェークト 世界観

タイトル 絶滅のオブイェークト

《 あらすじ 》
遥かな未来、広大な宇宙に版図を広げた人類は二大勢力に別れて戦っていた。
母なる地球で建国されたユーロピア共和国と植民惑星が同盟を結んだ環太平洋連邦である。
長きにわたる戦争は膠着状態を迎え、形だけの休戦条約が結ばれた。
その戦争の末、宇宙の外れに一つの国が生まれた。通称、難民開拓惑星ヨルダン。その名の通り戦争難民たちが寄り集まって形成された小国であった。
そこに住む退役軍人の夏村は政府要職の座を蹴って修理屋紛いの仕事で生計を立てていた。
いつものように農耕機の点検をしていると実質的な支配者である総督、王盧が訪ねてくる。
車で総督府へ向かいながら親交を温める二人。王盧は環太平洋連邦の機密文書を夏村に渡す。連邦軍中将たっての願いで数光年先の惑星で起こっている軌道エレベーターを巡る戦争に介入して欲しいとのことであった。個人的な義理とヨルダンの中立を守るため、渋々作戦に参加することとなる夏村。件のコンコード、デアラウェアの二大勢力は植民惑星リヤドの覇権をかけて全面戦争を開始していた。それはユーロピア共和国と環太平洋連邦との代理戦争でもあった。しかし、両陣営ともに保有戦力は微小で、大国の軍事支援の遅れも相まって泥沼の攻防戦が各地で頻発している事態に陥っていた。そのとき環太平洋連邦の高官による個人的な協力要請がヨルダンに届いていた。退役軍人の夏村にPMCとして協力を呼びかける王盧であったがヨルダンには陸上戦力がないと断る夏村。その反応を見越していた王盧は基地地下にある切り札を夏村に見せる。それは謎の包まれた前大戦の遺産、戦闘城塞プロトステガシリーズの1つであった。
戦闘城塞プロトステガはアケロンと名付けられ、数々の耐久試験を重ねて実戦投入のための準備をすすめる。陸上戦力はこれ1両きり、軌道エレベーターを巡る攻防戦の只中に降下することとなる。
チームメンバーは警備隊に貸し出していた夏村の元部下から選出されることになった。早速、夏村は警備隊を管理するMOD長官であるアデラを訪ねる。
旧交を温めつつ優秀な兵士であるイライジャ、ルーカス、フミカの計三名の出向を要請されたアデラは不承不承ながら許可を出す。その日から新設された特別降下単独分隊のアケロン慣熟訓練が始まるのであった。

訓練を終え、超巨大ポッドで惑星リヤドへと突入を開始する降下分隊はデアラウェア攻略戦に参加する。山脈を挟んでの砲撃戦を展開する両陣営は膠着状態であった。突如現れた未確認不明機に両軍は困惑し、アケロンはデアラウェア防衛軍から攻撃を受ける。攻略部隊からの援護は当然なく、夏村は攻略部隊の協力を取り付けるためアケロンの性能を発揮する。敵のT30に対して圧倒的な攻撃力防御力を持って壊滅させたアケロンはデアラウェア攻略部隊の一員として認められる。次の戦闘に備えて、ダメージチェックを重ねる中、夏村の指示を受けてイライジャとルーカスは撃破したT30の残骸を解析する。T30のコックピット内には誰もいなかった、無人で作動していたのだ。一連の事件の真相に気付きつつあった降下分隊は二日目を迎えた。
軌道エレベーター内部に潜入するためにはエレベーター城下の都市外縁を覆っているディフレクターシールドを突破する必要がある。夏村はアケロンの主砲でシールドをこじ開けつつ、アケロン後部に取り付けられているE48で都市に突入する作戦を決行する。
迎撃する陽電子砲の砲撃を防ぎつつ、シールドの突破に成功した降下分隊は夏村とイライジャを乗せたE48とアケロンを制御するルーカスとフミカの二手に分かれる。フィールド発生装置を破壊するE48、攻撃を捨てフィールド全開で決死の籠城を試みるアケロン。フィールド発生装置の破壊が決定打となり、攻略部隊も本格的に参戦する。熾烈な攻防の末、E48は軌道エレベーターデアラウェアへと侵入する。施設内に入った夏村とイライジャは、不思議と防衛軍の抵抗を受けることなく、基地司令部まで到達することができた。そこで夏村とイライジャは真実を悟る。司令部には餓死者のみが横たわっており、防衛部隊に人間は存在しないということを。デアラウェア防衛隊は人工知能によって統制されたものであり、元々は攻略部隊であったのだ。夏村はこれまで気がかりだった点を次々と解き明かしていった。真相はこうだ。元々歴史の浅い植民惑星であったデアラウェアとコンコードには兵器があっても兵士がおらず、戦争能力がなかった。よって条約違反レベルの高度な知能を持つAIを用いてこれまで戦争していたのだ。しかし、高度すぎる知能が仇となり、陥落させたデアラウェア直下の人間たちを保護しようと判断したAIと攻撃続行を呼びかけたAIが衝突してしまった。そして、封鎖された軌道エレベーター内は孤立してしまい期せずして、人間は皆餓死してしまう。これまで顔を合わせていた防衛隊と攻略隊の人間は架空の人物であり、合成された映像に過ぎない。恐らく、コンコードでも同様の事態に陥っているのだろうと夏村は語る。夏村は司令室からフィールド解除のコードを打ち込むとデアラウェア地下に生存者がいないか基地の機能を使って捜索するも誰も生き残ってはいないようであった。
時を同じくして、アケロンに残ったルーカスとフミカは防衛部隊の猛攻にさらされていた。攻略部隊の砲撃と開放された基地の防衛システムにより、着々と数を減らす防衛部隊はついに最後の一機を迎える。ここにデアラウェア攻略戦は集結したのだ。アケロンに集結した降下分隊であったが、攻略部隊が無数の閃光に貫かれ破壊された光景に再び臨戦態勢を余儀なくされる。光線を放った船、天より現れたのは環太平洋連邦の宇宙戦艦であった。3隻の最新鋭艦は容赦なくアケロンに追撃を続ける、大条約違反の目撃者を消し去るために。ここに来て、派遣要請元に裏切られた降下分隊は進退窮まるも、夏村は敵性戦艦3隻の撃沈を命じるのであった。


登場人物
夏村
難民開拓惑星ヨルダンでなんでも屋(軍事的サービスも含む)を営む退役軍人。60代。前大戦では環太平洋連邦の傘下にある衛星国家の兵士として参加、腹心の部下数名と共に鉄十指勲章を授かるほど英雄。既に壮年だが夏村は戦闘兵器として遺伝子調整された人造人間であり、未だ20代の若さである。母星を前大戦で亡くしており(ヨルダンに住むものはみな同じ境遇)惑星ヨルダン移り住んだ移民者である。ヨルダン創設メンバーの一員であり、軌道エレベーター完成後はのほほんと隠居生活であったが王盧の要請を受け、搭乗経験のない戦闘城塞を駆り再び戦場に戻る。


王盧
難民開拓惑星ヨルダンの行政を一手に担う政務管理監。実質的に惑星ヨルダンのトップであり独裁体制を敷いている人物である。夏村の誘いと「統治機構をゼロから構築してみたい」という個人的な興味からヨルダンの開拓を始めた。年齢不詳だが彼も夏村同様に若々しい容姿を保っている。資源惑星として注目され始めたヨルダンの微妙な舵取りに日々腐心している。


アデラ
MOD(Ministry of Defense)長官。夏村と同時期に移民してきた退役軍人。非常に几帳面な性格で語気が荒く、男勝りな女。一応軍事面でのトップだが戦力に乏しく(戦艦一隻と戦闘機10機ほど)活動は形骸化している。もっぱら警備、監視という名目で軌道エレベーターと周辺施設の維持、建築業務に追われている。


イライジャ
第1師団普通科連隊本部所属、階級は一尉。40代。いい年だが、容姿は夏村同様に20代とさして変わらず、その若々しさに引き摺られるように青年気質が抜けない。名うての戦闘機乗りであり、ルーカスとは犬猿ながらも親友の間柄。かつての上官である夏村には非常に懐いている。


ルーカス
第1師団普通科連隊本部所属、階級は一佐。40代。金髪だが人種の特定できない異様な顔立ちの美男子である。全方位に突き抜けた天才であり、組織の枠を超えて要職を任される立場の人物。イライジャ同様、夏村の元部下であるが、反骨精神旺盛で王盧や夏村、アデラなど自分の目上の人間はみな疎ましく思っている。犬猿の仲ではあるものの唯一イライジャには気を許している。

フミカ
第1師団普通科連隊本部所属、階級は一尉。メガネでもさっとした髪の小柄な女性。20代。
情報処理能力が高いため降下分隊のサポート役として抜擢された。性格は非常に小心者で責任を負うという行為を忌避し、他人によりかかって日々暮らしている。そのくせ虚栄心は強い。

カニンガム
デアラウェア防衛隊の司令官。実直な軍人であり、住民の権利と財産を守るため戦い続ける不屈の男。というのは疑似人格であり、実際は人工知能である。見た目も実在の人物を元に描画された合成映像である。

ワイト
デアラウェア攻略隊の隊長。カニンガムと同じく人工知能である。


アケロン
重量約1,500トン(可変)、全長55m、全幅20m、高さ18m
装甲 分析途上
主兵装 1x 800 mm K (E)
副武装 36 x小口径レーザー砲
20 x VLS
懸架方式 なし(接地用の脚部パーツ128基)
エンジン 反重力ドライブ、縮退炉

アケロンとは、現在解体された帝国研究計画局によって提案された戦闘城塞という新兵器群、その試作4番機である。
見た目は超巨大戦車という趣だが、無限軌道は存在しない。超重量であるため走行に耐えられるシャーシの製造は不可能だからだ。代わりにただ『接地』するための複数の着地システムが存在している。これと半重力放射によるホバークラフトにより自走する、まさに動く城『戦闘城塞』である。
対空防御用に高出力レーザー砲を36門装備しており、音速飛行する飛行物体も瞬時に撃墜可能。(これは絶滅のオブイェークト世界の設定であるが、戦闘機、爆撃機などは高出力レーザー砲の登場により廃れている)
電磁軽擦式(ゴティックメードの関節みたいなもん)揺動砲塔を備えており、自動装填能力と高い防御力と両立している。(現実の揺動砲塔は壊れやすい。)
装甲に関しては謎に包まれているが非常に堅牢(後述の砂の刻印に関連している)。
唯一の弱点は補給能力に乏しいこと。特に主砲などは砲塔と戦闘室が完全に分離しているため、一切のメンテナンスは不可能であり、弾薬の補給も大規模な施設でなければ供給できない。
開発した帝国研究計画局は星ごと滅んでいるが、アケロンは爆発した星の残骸から発見された。製造者、コア技術ともに不明な点の多い兵器である。

E-48
浮揚戦車。環太平洋連邦で普及している現行機。レーザー砲を防ぐ堅牢なディフレクターシールドと強力な主砲が持ち味。


T-30
旧式。生産台数が多いためユーロピア共和国と環太平洋連邦の陣営問わず、幅広く普及している。とはいえ一世代前の機体であるため依然強力な兵器である。E-48と比較した場合、火力においては並ぶもののその他すべての性能で劣っている。特にFCS(射撃管制装置)において大きく差をつけられており、一対一の戦いではまず勝負にならない。


世界観補足
・遺伝子調整人間、改造人間が存在する世界(仮面ライダー1号クラスが割とごろごろ)
・高度な判断力を持つ人工知能は存在しない(反乱が起きて人類滅亡しかけたため)
 ランク分け(1から3)されており、例えば必要に応じて目的などを自分の判断で書き換えられるランク2以上はNG(その都度人間が目的を再定義するならばセーフ。通常はAを殺せという任務を与えたなら必ずAを殺した後は機能停止しなければならない。また、Aを殺すために想定外のの存在Bを殺すといった自己判断は許されない)
・定められた文字列を何らかの形で刻印すると実体のない原理が実体を持つ。(例えば剛体)

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する