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作者より:設定解説 — セリシアと「星読みの民」


1. 「星読みの民」の正体:世界の法則の「記録者」
セリシアの出自である「星読みの民」は、単なる占い師や魔術師の集団ではありませんでした。彼らの真の役割は、**この世界が『フィクション』として「描かれた」当初から存在する、『世界の法則の記録者(ロジック・キーパー)』**です。

彼らは、プロト・コアが実行する**『運命(物語の筋書き)』**を、天空の星々の運行パターンとして読み解き、その法則が乱れないよう監視・記録する役割を担っていました。

• 知識の源泉: セリシアが持つ驚異的な古代知識と魔法の才能は、この民が代々受け継いできた、**『世界の基礎法則』**に関する膨大なデータセットに基づいています。

2. セリシアの特別な位置付け:「描かれた運命の擁護者」

民の中でも、セリシアは特に強力な能力を持ち、プロト・コアの管理者に最も近い存在でした。記憶を失う前のセリシアは、アルファの思想に近い、**「運命通りに世界が進むことが最高の安定である」**と信じる人物でした。

• 「描かれた物語」の擁護: 彼女は、この世界が**『フィクション』であると知った上で、その『フィクション』を完璧に実行・維持することに、己の存在意義を見出していました。彼女の魔法は、すべて「法則を最適化し、運命から外れた要素を修正する」**ために設計されていました。

3. なぜ彼女は民を離れ、記憶を失ったのか?
セリシアが**「星読みの民」の役割を捨て、記憶を失ったのは、彼女が『描かれた物語の結末』**を予見してしまったためです。

• 結末の予見: 彼女は星を読み、このまま物語が進めば、世界は安定するものの、それは**「自由な感情や意志のない、冷たい世界」**となることを知りました。そして、その結末は、アルファの知識の独裁によってもたらされると悟ったのです。

• 記憶の削除の真意: 彼女は、アルファの力に対抗するには、**アルファと同じ知識(世界の法則)を持つ自分の存在が最大の障害になると判断しました。そこで、彼女は『星読みの民としてのすべての知識と記憶』を自ら削除することで、アルファの『未来予測アルゴリズム』**から自分の存在を完全に消去しました。

彼女が民を離れ、ルークたちと出会ったのは、『世界の法則から自由になり、新しい「感情」に基づく物語を創造する』という、彼女自身の最後の、そして最大の意思決定だったのです。

この解説により、「星読みの民」の背景と、セリシアの記憶喪失の重みが深まったかと思います。

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