みんな観てる今期もっとも注目のアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』について、誰かに言われる前に先に言っておく深海くじらの予想です。
ネタバレだらけですので、お覚悟の上で。
1)ガンダムモデルのゲルググは当て馬だった
GQX序盤でもっとも話題となったシイコ・スガイ。登場回たった1話の魅力はXをはじめ数多のSNSで取り上げられ、反応の早い二次創作同人誌界でも主役の地位に躍り出た。と同時に、彼女の乗機「ゲルググ」も炎上物件として大いに取り上げられた。
連邦のMS、ガンダムを鹵獲したことでジオンのMS開発が大転換し、コードネームのみ生きていた「ゲルググ」名を、ガンダムのリバースエンジニアリングで開発されたMSに与えた、いわゆる「ガンダムカラーのゲルググ」である。GMと見紛うその外観は、ファーストガンダム信奉者を中心に、大批判を浴びた。
従来からのガノタ(ガンダムオタク)にとって「ゲルググ」と言えば、リックドム(ドム)に続くジオン軍制式MSで、シャア専用の赤いゲルググを筆頭とする無骨でボリューミーな甲冑型MSしかなかった。しかしGQXで登場した「ゲルググ」は、その従来型とは似ても似つかない機体だった。
なぜそのような機体に敢えて「ゲルググ」の名を冠したのか?
開発計画の中で実機制作よりも遙か前にコードネームや名称が決められるのは、現実世界の戦闘機や乗用車の開発の際にもよく見られることである。なので、リックドムまでは試作レベルまで行っていたGQX世界で、その次の制式機に新技術が転用されるのは当然で、そのタイミングで出来上がった機体に、順番通りの命名が成されたとしても辻褄は充分に合っている。だが、そうしないでいることだって十二分に可能だったはず。従来ガノタを戸惑わせること間違いなしのMSキャスティングを無理に通した理由はどこにあったのかを、深海くじらはかなり以前(第10話放送前段階)で考察していた。
「ガンダムモデルのゲルググは、視聴者であるガノタの感覚と感情を揺さぶるためだけに存在している」
所謂炎上商法である。あの機体を「ゲルググ」と呼ばせることで、ファンによる大量のヘイトを(意識的に)巻き起こすことこそが、あのデザインのロールアウトだったのだ。
そもそもファースト至上主義者たちはあの機体と名前の組み合わせに早くから異議を唱えていた。ガンダム人気を下支えするかれらの鬱屈を、バンダイとサンライズをはじめとする制作者側が見逃すはずは無い。最終12話にて、このつくられた鬱憤は晴らされることとなるだろう。
2話前からその可能性を想像していた深海くじらの予想は、11話最後に登場した白いガンダムの姿を見て確信に至った。
つまり我々視聴者は、当時の形そのままの赤いゲルググを目の当たりにするのだ。ファーストガンダム世界であるアルファ世界線を守るための世界遷移するシャロンの薔薇エルメスが白いガンダムのビームサーベルに貫かれて爆散するその影で、彼女を身代わりに生きながらえることとなるシャア大佐(アルファ世界線)の専用機体として。
2)物語のエンディングは「おはよ♥」
従来からのガノタを納得させる物語の終幕は、ファーストガンダムTVシリーズ第41話「光る宇宙(そら)」のクライマックスシーンから逃亡したエルメスを所定の位置に付け、搭乗するララァ少尉とともに破壊することで完了する「アルファ世界線の修復」が正しい解である。11話終了時点でそのことは自明となったわけだが、翻ってGQX自体の物語の着地点はどうなるのか?
「この世界を消滅させて」という持論を開陳したシャア大佐(GQX世界線)の思惑通りに事が運べば、宇宙世紀はアルファ世界線に収斂されると同時に、GQX世界線も途絶して物語宇宙自体が無かったものとなる。しかしそれでは、ここまでの11話で培われた物語、より具体的に言えば、我々視聴者がエンディングテーマで見せられ続けてきたマチュとニャアンの平和な生活が完全に蔑ろにされるのとイコールである。
創作を主軸とする深海くじらは予想する。ドラマツルギー的に、彼女たちの未来と生活は守られるべきだ、と。
そこから導き出されるGQXという物語の最後は、シャロンの薔薇のアルファ世界線への遷移を成し遂げた(もしくは加担した)GQX搭乗のマチュとGFreD搭乗のニャアンが書き替えられたベータ世界線(GQX世界線)に跳ばされた先で目覚めるシーンとなる。具体的には、改札での衝突ののちにニャアンの学校への転入という形で知己となったふたりが同棲生活をはじめており、そのなんでもない平和な日々に精神転移して目覚めるマチュに、先に目覚めていたニャアンが向かい合うシーンである。
もうみなさんのまぶたの裏にも浮んでいるであろう。
どちらが発する声とするかはみなさんの好みにすれば良いが、いずれにせよ、そのときに発せられる最後の台詞は「おはよ♥」以外には有り得ない。
これにてGQX物語の円環は閉じるのだ。