迷宮についての小説を書いている。
ちょくちょく読んでくださる方がいるようで、嬉しい。大変読みにくいとは思いますが、よければこれからもお付き合いください。
いや、実際読みにくいなあ、とは自分でも感じていて、まさに迷宮のよう……ははは、と乾いた笑い。けれど、単純にしたくはないなあ、と思ったのは確かなことだったりする。
それは一本の紐だった。あいうえおかきくけこさし……、と文字を繋げた一本の紐をぱたりぱたりと折りたたんだ形が文章で、読みやすい文章とはこれがすんなりと解けて引き出せるものだと思うけど、じゃあ読みにくいものって何かといえば、たんぱく質みたいにぐちゃぐちゃに折り畳まれたような文章だとおもう。そしてそれはたしかに存在する。
前後の文脈のみならず、その両隣の行、あるいは別ページ、さらには単語を介して世界中の思想と架橋していたり、あるいは過去、未来と手を結んでいたりするわけだ。その最もたるものは奇怪な暗号文になってしまうわけだが、それはもうまともな読み物ではない。
まあ実際の話はとても単純で、頑張れば一話を三行でまとめられるとおもう。だから、よくわからないところや突然のポエジーな領域が出てきて辟易したら、平気で読み飛ばしても良い。もっとも、ここは迷宮なので、安全を確認せずに読み飛ばした後の安全性については、これを保証できない、とする。