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キミと乗る高速狙撃ロボ(旧 狙撃軌道のお姉さん)あとがき移動します。

ファミ通文庫大賞応募に伴い、あとがきを一時こちらに移動します。

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 この度は私、永久凍土名義の本作に最後までお付き合いいただき、誠に有難うございます。本項は著者あとがきと諸処のネタ解説となります。

「あとがきのくせになんで七千文字もあるんだ?!」と、お思いでしょうが、当時の連載終了直後の気持ちのまま、勢いで書き上げたものです。
 そもそも「架空のアニメ」なのだからオーコメ的なものが欲しい、というところから端を発しており、半分おふざけとも言えるのですが。

 今見ると少々気恥ずかしい部分もありますが、またお時間がある時にでもご覧いただければ、これ幸いかと存じます。


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なんちゃってオーコメ的あとがき。

 ——— そもそも、何故いきなり長編小説を書こうと思ったのか、その動機詳細。

 はっきり言ってしまうと18年7月まで放送していたアニメ「ダーリン・イン・ザ・フランキス」の影響、これに尽きます。その「ダリフラ」をリアルタイムで追いかけながら「あのシーンの何の伏線だ」とか「あのキャラはこうあるべきだ」とか、設定やストーリー展開、果てはクールの縛りなど作り手の都合まで引括めて「ぼくのかんがえたさいきょうのだりふら」を考えているうちに「そこまで頭を使うのであれば自分でも何かでっち上げてみよう」と思い立ったのがそもそものきっかけです。「架空のアニメのノベライズ」はここから来ています。

 次に設定とプロットを練る訳ですが「ダリフラっぽいもの」に加えて昔から夢想しては温めるだけだったSFアイデアを結び付け、いざプロットを起こそうと物語の出来事を箇条書きにしてみたら、あら不思議45000文字超……何故そんなに膨らんだかと言えば、設定や会話などの細かいアイデアも一緒に書き込んでいた所為なのですが。
 最初はプロットだけで満足する予定だったのですが、「倍に膨らませるだけで10万文字行けそう」と調子に乗って、文庫本一冊分程度のSFにまとめようと書き始めた次第。
 因みにお約束の水着回やお風呂回、「無いとアニメじゃないよな」と自分を納得させて無理矢理入れたものです。えっ、その割には長いって言われましても……

 とは言うものの、始めてみれば小説と言うか文字物の作法がまるで分からない。実は普段から物語としての文字を書く習慣がなく、またここ二十数年小説を一冊も読んでなかったので(資料として三冊ほど買いましたが)、三点リーダや約物、句読点の使い方、三人称の視点の扱いなどなど、躓いては調べる、そして遡って直すの繰り返しで。終わってみればもう二度とやるものじゃないと苦笑い……。
 実際、読点はともかく句点の打ち方は今でもよく分からない。連続中止法なんてこの歳になって初めて覚えました。いや昔習ったかもしれませんが、ウン十年以上前のことなんで……
 それから、僕は文章を書く上でやたらと主語を後ろに持っていく癖があって、物語の中盤辺りまで書き進めてから主語の位置を全部見直す、ということもやりましたし。
 正解がないのだからしょうがないのですが、自分の小説を書く上での統一ルールを確立するのが一番大変だったと思います。


 ——— 元ネタ解説 ストーリー編

 先ず前述の通り動機が「ダリフラ」なんですが、背景のストーリーは昔から夢想しては温めるだけだったアイデアがほぼ骨格を成しています。
「古代異星人が作った超巨大深宇宙探査船の進路が地球と重なっていて、いずれ衝突して飲み込まれる。回避を望む側と飲み込まれて進化を望む側、すでに飲み込まれた側の三つ巴で争う」
 ……みたいな明確な悪が存在しない話だったんですが。それに加えて「有人複座人型ロボを如何に成立させるか」と現在SFをやる上では避けて通れない「人工知能」と「クローン」を混ぜてこねくり回した結果が「狙撃軌道のお姉さんは好きですか。」です。

 影響を受けた、意識したものだけ列挙すると、ダリフラ、宇宙のステルヴィア、機動戦艦ナデシコ、戦闘妖精雪風、トップをねらえ!、シドニアの騎士、ひそねとまそたん、屍者の帝国、アルドノアゼロ、シン・ゴジラ、アニゴジ、アバター、エンダーのゲーム、パシフィックリム、マトリックス、メッセージ、インターステラー。あとは皆さんご存知の新世紀エヴァンゲリオンなど。
 因みに人工知能と言えば「BEATLESS」。丁度設定を練ってる最中にアニメが放送されていたのですが、「人工知能は核より危険な存在」程度にはチラ見して知っていたので、「じゃあ人工知能がやらかした後の世界をやろう」と間接的な発想のヒントにはなっています。ネタ被りを恐れて実はまだちゃんとは観てないのですが。

 改めて俯瞰してみると「ダリフラっぽい」というよりはSF風味の「彼氏彼女の事情」だと自分でも思います。あと特に意識してそう書いた訳ではないのですが、大人の視点の話になってしまっている。これは昨今の物語は大抵大人を否定する話ばっかりなので、逆張りして良い大人を書こうした所為だと思います。


 ——— 元ネタ解説 設定編

・ナーヴス
「ダリフラ」において一番不満だった点、「作られた子ども達」の設定が僕には消化不良にしか思えなかったことと、俗に言うSFにおいてクローン(レプリカントなどアンドロイド含む)の扱いは大抵過酷で悲惨なものばかりなので、「救いのあるクローン」をやりたいが為に作った設定です。
 当初はビル・ブラフォードのジャズユニット、アースワークスの楽曲「NERV(ナーヴ/神経)」から取った名前だったのですが、後から「あれ、これネルフだ」と気付いて止む無くSを付けて「NERVS」としました。

・AMD171/176アーメイド
「人型」で「有人」で「複座」のロボ。割と拘って作った設定です。これも昔から温めていたアイデアで「有人」なのは「敵の弱点が人間にしか観測できない」からですが、「人型」なのは「結果的に人型に見える」というコロンブスの卵的な設定で回避しました。自分自身も書いてる時点で「これ、文字物でやっても面白くないよね」と正直思ってましたが。なので171のロブスター型から176の人型に交代するまでがセットで「人型」設定っていう。えっ、ズルいですか?
 元のアイデアでは敵の弱点を観測する能力もパイロットに押し付ける予定だったのですが、「ダリフラ」からヒントを得て役割を割り振ったら結果的に話が膨らんだので、この「複座」設定は気に入っています。
 因みに何故ロボから直接核を撃ち込まないのか、バリア解除と破壊を分けているのかと言えば、単純に「外す可能性がある」からですが、そこまで書かなくても分かりますよね?

・超常知性構造体メタストラクチャー
 外観的な特徴はテオ・ヤンセンのキネティックアートをイメージしているのですが、実は発想の元は「超巨大なルンバ」。プロローグでそのままイオに「ルンバ」と言わせようかと迷ったのですが、二十二世紀には流石に名前は残ってないだろうと。かの「ウォークマン」が一世を風靡しながらも誰も口にしなくなったように。その代わり東京ドームとうまい棒は残っている設定。他に「唯一の国内資本球団、阪神タイガース」ってのをやりたかったのですが、血で血を洗う抗争になると困るのでやめました。

・超常の烏賊メタスクイド/パラスクイド
 薄く長い三角推に六本の触手。割と早い段階で外観のイメージを決めていたのですが、どうにも名前が決まらない。しょうがないからただの「イカ/Squid」。三本脚でトライポッド(宇宙戦争)、七本脚でヘプタポッド (メッセージ)と、安直な名前でも有りかと思って諦めました。
 他に銛状触手は当初「メタハープーン」という名前だったのですが、説明が増えるし文面がカタカナだらけになるので却下。思考装甲や各種ドローン、カード端末なんかも同様で、名前を見て大体どんなものか想像し易いように書いている途中で戻って変更ました。ネーミングに微妙に垢抜けないものがあるのはその所為です。「偵察ドローン」なんて「頭痛が痛い」みたいですし。

・IVシールド
 かの「シドニアの騎士」の「敵ガウナはカビザシという稀少物質で作られた槍でコアを破壊しなければ倒せない」、「槍を扱う必要から人型ロボ」という設定が気に入っていて、それに負けないアイデアを捻り出したかったのですが、残念ながら「バリアに穴のような弱点がある」という設定自体は「アルドノアゼロ」でも「アニゴジ」でも既出のもの。なので「ある才能を持つ人間でなければ観測できない」との合わせ技。前述のシドニアも全部が新しいという訳ではないですから、そこはすんなり諦めました。
 因みにIVシールドのIVとは「インビジブル/InVisible」のことなんですが、「不可視の盾」ってそのまま過ぎて本編では説明しておりません。

・超空間接続
 俗に言うワープとかデスドライブとかデスドライブとか(イデオン脳)、SFに頻出する便利な概念と同様のものですが、「天体は常に運動しているので、言わば対向ですれ違う電車と電車を飛び移るようなものなのではないか」……という昔からのモヤモヤをそのままネタにしました。実際ワープが可能になったらどうなるのかよく分からないのですが、一応創作上の嘘です。
 実は誤差問題などもずっと細かくヒライに喋らせてはいたのですが、雑談が恐ろしく長くなってしまったのでカットしました。えっ、あれでも? そう、あれでもなんです……
「トップをねらえ!」のウラシマ効果とか「機動戦艦ナデシコ」のホゾンジャンプなど物語の筋立てに影響するSF考証が欲しくて設定したものです。

・演算思考体
 平たく言えば人工知能です。物語上では販売戦略的な意味合いで人工知能の呼称が変えられたという設定ですが、実を言うと現在の人工知能の最先端がどこまで行っているのか調べるのが億劫(こらー!)だったので、分岐した別の存在として嘘が付きやすいように名前を変えました。
 実はこれ、「異重力」も同様で「重力」についてネットで一応は調べたのですが、僕の頭ではさっぱり理解が進まない。既存の言葉として認知が進んだものを違う意味で使い続けるのは流石に抵抗があったので、止む無く頭に「異」を付けました。「亜」でも「甲」でも「乙」でも良かったのですが。「乙重力」う、うーむ……

・Kawakamiブランドの赤いサードパーティー
 七話から登場する覚醒イベントのためのガジェットですが、ラストの「メタスクイドが止まって見えた」、実はロングパスのギャグでもあります。気が付いた方は紛う事なきおっさんです。意味が分からない方は「川上哲治」で検索しよう!


 ——— 元ネタ解説 キャラクター編

・イオ・ミナミ
 実はとある知り合いがモデルなんですが、ここまで極端な性格でもなければ貧乳でもショタコンでもなく……バレるとそれなりに怒られるので言及は避けたいと思います。(中身おっさんは否定しない)
 当初、Jキャメロンの「アバター」を真似て車椅子主人公をやりたかったのですが、車椅子の方のブログなどを拝見しているうちに、SFだからと都合よく扱っていいほど軽いものではないと感じて断念しました。ここでは詳しく書きませんが、「アバター」と違ってイオは不自由を抱えたまま出突っ張りになるからです。
 とは言え、イオの単麻痺の設定は妥協の産物でもあった訳ですが、結果的にヒトの自傷癖と結びついて上手くまとまったのではないかと自画自賛はしています。読み手にそれが伝わったかどうかは別問題ですが……

・ヒト・クロガネ
 超有名アニメの某キャラを男の子に変えて造形しよう、というのがそもそもの発想のスタートです。右腕の包帯も部屋を訪ねたら全裸なのもそのままオマージュ。ついでにイオに押し倒させたかったのですが、それは流石にやり過ぎと断念しました。他に物語の都合上、イオを脱がすエピソードが多いので、免罪符として先に男の子を脱がしておけと。酷い作者ですね。
 元々無口キャラに設定したせいか周りが動かないと動いてくれないキャラで、ある意味一番プロット通りのキャラではあります。動いてくれたのは「動態視力」と「童貞」のくだりでしょうか。
 因みに名前は漢字で書くと「大鉄 人」となります。アーメイドもAMD171/176。イオの父の名前がミナミ・サブロウ、怪しい偉い人二人ブレインズとハスラー。実はこれもオマージュで特撮ドラマ「大鉄人17」から名前だけ頂きました。歳がバレますね。

・セリ・トドロキ
 本当にお姉さんっぽいお姉さん。物語上エッチな展開はありませんが、百合キャラであることを錦の御旗に意図的にエロティックな方向に寄せています。奔放で無自覚なエロス爆発オロナミ(ry
 イオがお姉さんと言いつつ実質おっさんなので、セリは不足するお姉さん成分を補充するための存在だったのですが、話を進めていくうちにあれもこれもと閃くものでつい……書いていて一番楽しかったキャラクターです。
 余談ですが、ガンナースーツは更新頻度が高いため内布が無く、代わりに着るのがバックウェアというのはセリに「あの台詞」を言わせるためだけに作った設定です。えぇ……

・リコ・カシワギ
 ヒトがとことん無愛想で動かないキャラなので、彼の人柄を説明するために用意したキャラクターでした。セリとは対極のロリ要員で負けヒロイン枠だったのですが、書いてるうちに自作キャラクターとして気に入ってしまったので詰め切れませんでした。多分僕は物書きに向いてないとも思いましたが……
 ナーヴスは基本的に兄弟以上の繋がりの概念がないので、妹のままでもいいのではないかと。だからイオの方も姉と弟で終わらせています。

・エリック・シャーウッド
 メタストラクチャー対策と並行して別ラインのストーリーの存在を示唆するために用意したキャラクターだったのですが、アンダーソンとハスラーを盛ってしまったため、途中から事件の真相にそんなに近くないキャラクターに変更しました。
 ニュクスとは真逆のちょっと頼りない大人ですが、最終話の展開で立場が逆転する仕掛けは気に入っています。これもまた自画自賛ですが。

・ニュクス・ジョーンズ
 その極端な外観の割に一番常識人で頼り甲斐のある大人。主にナーヴスを説明するためのキャラクター。イオが女性なのでニュクスも女性なのは必須でした。もし男性にするとしたら他のキャラクター構成も大幅に変える必要があり、全く別の話になったと思います。
 ナーヴスに深い理解があるのは百合設定あればこそで、男性にあの役割は無理かなと。ある意味お母さんキャラですから。

・アルヴィナ・ブレインズ(アルヴィー)
 物語のキーマン。やや役割を押し付け過ぎなところは自分でも反省しています。当初九話構成でほぼ一話丸々謎解きに使わざるを得なかったのですが、結果的に三話(実質四話)増えて若干バランスの悪さは緩和されたかなと……えっ、そうでもない?
 演算思考体、人工知能にペラペラ喋らせたくないから用意したキャラクターでもあった訳なのですが、プロットを練っているうちに恋愛色が強く出て、何故こんなにロマンチックな話になってしまったのか? と自分でも不思議に思っています。
 因みに本名のアルヴィナ・イリイニチナ・カレリナはせっかく調べて作ったから無理矢理入れました。本来クローンであれば無い方が正解なのですが。

・ブリッジクルー、ヒライ・エド・アレサ/アンダーソン・クライトン
 物語の世界観を説明するために用意したキャラクター三名。地の文で説明すると退屈、かと言って個別エピソードを用意するのもしんどい(本音!)。一応12話文庫本一冊分程度で完結させる都合から「雑談させて語らせよう」と。「機動戦艦ナデシコ」の「なぜなにナデシコ」的なことを文字でやりたかったのもあります。何気に冒頭から細かくネタバレをばら撒いているのですが。
 アンダーソンとクライトンは組織だから居ないとおかしいと何となく作ったキャラクターだったのですが、元々エリックに予定していた役割を割り振ったので後半随分と膨らみました。

・ロベルト・ハスラー/トオイ・イブキ
 当初の予定では設定していなかったのですが、演算思考体と融合したとは言え、爺さん相手に戦わせるのも色気がないと途中から追加したのがトオイ・イブキです。こちらはセリと違って大人のエッチなお姉さん。色気ってそっちかい!という突っ込みはさて置きます。眼鏡があれば完璧だったのですが、既にクライトン、エル分析官とも眼鏡キャラなので断念しました。……その解説要る?
 はっきりそうとは書いてないのですが、実はハスラーは最初から融合済みでトオイは一人芝居を延々やっているという……「融合すると他者として認識できなくなる」は元はと言えばトオイやアルヴィーの状態を説明するためだけに用意したアイデアだったのですが、今思えばもっと掘り下げても良かったのかなと。
 実際SFにおいて「他者と融合して一つになる」は割と頻出するアイデアでもありますが、そこから先について言及した作品はあまり見かけない(少なくとも僕の知る範囲ですが)ので。

・アダム・ブレインズ
 ひたすらどっちつかずで怪しいおじさん。基本は黒幕のハスラーとヘパイストスを結びつける繋ぎのキャラクター、最初から続編のための布石要員でした。続編を書くと決めた訳ではないですが、すっきり終わらせないSFのお約束と言うか……
 そう言えば何故か書いてる最中ずっと諏訪部順一氏のイケボで脳内再生されていました。


 ——— 最後に。

 七月末に思い立って、投稿開始が十一月末。実質四カ月で17万文字、とある事情で時間が取れたようなものなので決して誇れるものではないですが、それでも自分を褒めてあげたい。いやはや、完走できて良かった。勉強にもなりました。作品は自分の子どものようなものだ、と言う人の気持ちも少しは理解できたと思います。
 物語の出来についてはまだ客観視できないので何とも言えませんが、不出来な子ほど可愛いとそんな感じでしょうか。
 取り敢えず持てるもの全部突っ込んだようなものなので今はまだ頭の中が真っ白ですが、またアイデアがまとまったら挑戦したいと思います。今度は寄り道を減らして。


以上、あとがきと元ネタ解説、ご静聴ありがとうございました。


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この度は拙作に興味をもってくださり誠にありがとうございます。
本文をお読みになり、作品を気に入っていただけましたら、
ブックマークや評価・感想などどんな形でも頂けると大変嬉しく思います。
改めてよろしくお願いします。

2018・12・9 永久凍土

コメント

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