さて、いつもは小説の投稿ばかりしている私ですが、たまにはちょっと変わった話題を語ってみたいと思います。
たとえば……『アラバッキー』に登場するアマテラスさまの性別について、どうでしょう?
日本神話の最高神、天照大御神(アマテラスオオミカミ)といえば、一般的には女神とされています。
ですが、拙作『アラバッキー』では、アラハバキを皇妃として迎え、彼女から「夫(つま)」と呼ばれている存在です。
「えっ、アラバッキーの天照さまって、女神なの? それとも男神なの?」
――と、混乱された読者の方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、天照大御神は『古事記』や『日本書紀』では明確に女神として描かれています。
けれど、男神説というのも存在しています。
また、アラハバキの別名ともされる瀬織津姫《セオリツヒメ》が、天照の妃であり、その子を産んだという伝承もあるのです。
で、結論から言いましょう。
――そんな細かいこと、どうでもよくないですか!?
そもそも、日本神話には「別天神《ことあまつかみ》」をはじめ、性別を持たない独神《ひとりがみ》がたくさん登場します。
イザナギさまとイザナミさまにしたって、「性別を持った最初の神々」とは言われていますが、単独でもポコポコ子どもを産んでいるくらいです。
だから、アラハバキが女神で、天照も女神。
それで結婚して、子どもまで作っちゃう!
何の問題があるというのでしょう!?
女神と女神が結婚して何が悪い!
神話系百合夫婦、大いに結構!
さてさて、メタ的な話はこの辺にして――
今回はちょっと、本編の隠し設定について触れてみましょうか。
実は、アラハバキを妃として迎えたのは、アマテラスご自身の意思ではありませんでした。
この政略結婚の裏には、高天原の上皇・高御産巣日神(タカミムスビノカミ)の深い思惑があり……
その背景には、「天津神の少子化問題」があったのです。
天津神たちは、二代目にあたるイザナギ&イザナミ夫婦による「神産み」で一気に人口を増やしました。
しかし、三代目になると、目に見えて出生率が低下し始めたのです。
当初、タカミムスビは三貴神――アマテラスとスサノオを結びつけ、イザナギ&イザナミの代替にしようと考えました。
が……ご存じの通り、この二柱の相性は最悪で、スサノオのご乱行のせいで「天岩戸事件」なんて大騒動まで起こる始末。
やむなくスサノオを追放したものの、高天原の神皇をいつまでも独り身にはできません。
かといって、ツクヨミはというと……独神の性質を濃く受け継いだのか、影が薄くてまったく頼りにならん!
そこで白羽の矢が立ったのが、原初の荒々しい力を今も宿し、イザナギたちと同じく「神産み」の力を持つ荒神の王――アラハバキだったのです。
捕らえられた彼女をアマテラスの妃に据え、多くの神子をもうけさせて天津神の血を活性化させる。
さらに三貴神の跡継ぎとなる強力な神々を誕生させる――それがタカミムスビの狙いでした。
そして、計画は思惑通りに進み、アマテラスとアラハバキの間には、目が覚めるような尊き子が誕生します。
……が、喜んだのも束の間。二人目を産む前に、アラハバキは脱出。
タカミムスビの「高天原再生計画」は元の木阿弥となってしまいました。
と、まあ、以上の裏設定は、現状の『アラバッキー』にはあまり関係ありません。
高天原が本格的に舞台になったりでもしない限り、出番はなさそうです。
とはいえ、自分用の備忘録も兼ねて、ここにこっそりと投稿させていただきました。