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無題

帰宅と各駅停車

 今日は疲れていた。
 営業で歩き回った末に足は棒になった。携帯のマップアプリと睨み合って知らない土地を歩いたせいで、精神も携帯のバッテリーも容赦なく削られた。まさに疲労困憊だ。
 だから人でごった返した急行列車の車内を見てしまってはその中に飛び込む気力は到底湧かないというものだ。俺は多少時間がかかるのを承知で反対側のホームに停車している各駅停車に乗って座席に座ることにした。

 各駅停車ははっきり言ってのろい。少し進んでは止まり、発車したと思えばあっという間に次の駅に着いてまた止まる。ずっとこんな調子だからスピード感のかけらもない。今からでも急行列車に乗り換えようかとも考えたが、余裕をもって座席に腰掛ける快適さを知ってしまった今の俺はもうあんな窮屈な空間には耐えられないだろう。
 しかしこのままでは自宅に着くには普段の倍近くの時間がかかってしまう。しかもGPS機能を酷使したせいで携帯のバッテリーを切らしていたからまともに暇を潰すこともできない。気まぐれで各駅停車に乗ってしまったことをやや後悔しながら車窓を眺める。
 いつもなら帰宅ラッシュの車内ですし詰め状態だったから、窓の外を気にしている余裕はない。悠々と座席に座って、改めて車窓を流れる街を観察した。
 けれどそこは灰色のビルや住宅街が続くだけで変わり映えしないものだから、情緒も何も無かった。次の駅に到着することを告げる車内アナウンスも無機質で気怠げだ。

……
 



以上、近況ノート「各駅停車」にて言及したお話でした。

要するにエタったんです。

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