「忙しい時に済まんな」
「閣下、状況が状況だけに追い込みたいのですが」
「まぁ、落ち着け」
「…」
「言ったろう、やるなら勝てと」
「だからこそ、今」
「バカ者!」
昆布は凍り付いた。
「参戦してどうだった。けつの毛まで晒して。煮貝が何故、外された。今度は、お前か!俺の顔に泥を塗るのか!」
「…」
「さっき、安倍川餅と話し、手を組んだとの知らせを受けたは、甘党利からな」
「えっ」
「これで、お前は終わりだ」
「閣下、見捨てないでください、閣下」
「知らん」
「閣下」
昆布には、麻草副総理の顔が閻魔大王に見えた。一部の望みを抱きながらも今後の自分への風向きや待遇に逃げ出したい思いが襲い掛かってきた。膝ががくがくと震え、崩れ落ちていく。片膝を突き、両膝を突き、頭を垂れた。
「閣下、助けて下さい」
「そこまでするからには、覚悟はあるのだな」
「どのような覚悟も」
「そうか…」
麻草副総理は、背中を向け、思案していた。暫くして、重い口を開いた。その間、昆布は自らの選対から票が伸び悩んでいる事や既に投票した党員・党友会の方からの投票取り消しが出来ないかの問い合わせが後が絶たない現実を思い起こしていた。
「辞退しろ」
「えっ」