俊博は、夢を描きながら、新居を探し始めた。監禁した女性を他人に悟られず囲える設備。オートロック、監視カメラ、音が響きにくく気密性が高い鉄骨鉄筋コンクリート造の物件、出来れば隣室との間隔があることなどが挙げられた。その条件にピッタリ合う物件が見つかった。新築のマンションで最上階の9階。まだ、入居者が三分の一程しかなかった。俊博にとってこの上もない物件だった。営業マンから、このマンションは、女性でも安心できる防犯設備に優れており、新築ということもあり問い合わせが多いんですよ、という常套句にも心を奪われていた。俊博は内見を行うとその日の内に契約を行った。契約が成立し、鍵を手に入れると空き部屋や監視カメラの位置を確かめた。俊博の部屋は9階の918号室、両隣が空き部屋だった。
これだと当分の間、防音設備は不要だな、とほくそ笑んだ。それからは、女性の入居者が引越してこないかと落ち着かない日々を過ごすことになる。そして…。