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迷子の無双ちゃん 反省会場(全ネタバレ)


 234回で、なんとかひとつ結末つけて完成しました。ご笑覧いただきました皆様には特別の感謝を。
 もし要望があればいくらでも短編・中編で書き足せますが、ひとまずの幕。世界は続いていくけれど主人公の物語としては語り尽くしましたエンドです。

 ほぼ一年の連載期間になりました。それなりの長編小説を書きあげたのは初めてですのでアレな部分がさぞ多かったことだろうと思いますが、多少、言い訳とか自分の感想とか残しておきたいと思います。



   【この話のテーマについて】

 まず決めていたことは、主人公は間違ったり失敗したり流されたりもするけれど、なるべく積極的に自分で決めて自分の責任で動くキャラクターにしようと。

 14歳の美少女という設定も、18,19以上ならもっとしっかりしろといいたくなるし、現代が舞台なら15,16でも構わないけれども、ファンタジー世界なのでもう大人かもしれない。でも以下だと1人で動けなくなるので、14歳。
 美少女にしたのは恋愛の扱いをもっと全然する気がなかったのでせめてもの彩りというほかに、物語開始前から余計な鬱屈を持たせないためでもあります。
 美幼女に転生する系の作品で主人公がごく自然に抱いている、無条件で世界から守られるべきだという無意識の無敵モード感。あれを持ちつつ、それがまさに今、失われて否応なく守る世界の側にカテゴライズされていきつつあるのを感じる主人公の旅路でした。

 ラストの叫びがトイザらスキッズのテーマだったのは、脳を介さずノリだけて書いておきながら妙なものですが、物語主人公ではなくアイシャ本人の心の叫びだったのでしょう。
 作者の私自身の思想は? 子供時代をもう一度繰り返すくらいなら素直に死ぬ。でもいま大人かといえば、年齢以外は大人とはいえないな。


   【アイシャについて】
 漠然としたイメージだけですが、恋愛展開を入れるに際して理想としたキャラクターは『痴人の愛』の序盤のナオミ。彼女が良い親の下で愛想良くハキハキした性格になった感じ。サッちゃんにとってのファム・ファタル(破滅させるイイ女)。愛されて嬉しいし贅沢も楽しいけれど、同じ量の愛を求められても、そりゃ勝手だよね。
 という感じで最終回の後もフワフワが収まることはないでしょう。興味もあっちに行ったりこっちに行ったり。ただ、女友達がしっかりしているので生々しくならないうちに落ち着くことでしょう。
 

   【この世界について】

 タイトルはちょくちょくいじっていますが、紀行という単語は変えていません。これは単純に自分の趣味で、風景描写とかを書いているのが気持ちいいからです。ウケは悪いらしいですね。

 主人公の名前・アイシャは、いくつか名前の候補を挙げようとして真っ先に目に入って、これしかないと思って決めたものです。なので、他の人物や全体の雰囲気も、アイシャ・アーイシャの名がある中央アジア~ペルシャ辺りを大いに参考にしました。
 ヤザン(覚醒)、マフティ(使徒)、シャディク(誠実)などガンダムでおなじみの名前もあの辺でよくある名前らしいですね。表記は人名まとめサイトに従っています。

 とはいえ、この世界はナーロッパです。本気で中東風にしてもわかりにくくなるだけですし、私だってわかりません。金髪の人が多いし冒険者ギルドだってあります。
 でも中世ドイツ風ではないので、庶民も全体的に豊かで清潔感ある雰囲気になっています。
 糸屋の娘という設定も、農家ではなくて、のどかながらも都市経済に組み込まれていてある程度の教養や贅沢にも触れている雰囲気のためです。雰囲気ばっかりです。


   【倫理的に】

 いちばん失敗したなぁーと思うのは、こういうお話になるならオークは本当に魔族で人外の鬼にしておくべきだったかなぁ、これではえぐい差別文書になりかねないやというところで、せめて実在のなにかに寄せるべきではなかったという後悔です。
 もしこれで炎上したら。でもまったく無反応よりは悪名があるほうがマシか。と思ってそのままにしました。国の名前を変えるくらいはやってもよかった。
 ペルシャテイストを入れた国がヨーロッパテイストの国に侵略されるのは生々しいから、モンゴル帝国のなんとかハン国が攻めてきたぞっ!みたいな雰囲気をイメージしています。
 主人公はあくまで個人で、最後まで個人スケールなので大きい話はもちろんわかり得ません。ちなみにオーク族言語表記はグーグル翻訳のマルタ語。良い雰囲気の文字だと思います。

 やっぱり、人を殺す話はどうしてもどこかきち画いじみてくるもので、アイシャもだんだん心が荒《すさ》んで、自然にモノローグから丁寧語がなくなっていきました。
 これは読者には伝わらない、ただのアラにしか見えない、と自分でもわかっていますが、ライブ感で自然になったことなので、あと心の荒みの現れという思いつきも気に入ったので、そのままにしています。文章力が上がったうえでわざわざ書き直す機会があれば、わかるようにそう直してみたいものです。

 あと、誰がなんと言おうと私にとっては酒は良いものです。反省は無いです。もちろん個人差がとてもとても大きい嗜好品なので、飲み手に良く、連れに良く、世間も良くなる飲み方をしましょう。 


   【細かいこと】
 ほぼギャグですが、センチメートルとキログラムの設定は気に入っています。
 ただ、ここで時間の設定をし忘れていたので「時刻描写は数字でしないことにしよう」と途中から決めたのは実に余計でした。1時間2時間とか、1秒2秒とかは別の表現がしやすいものですが、5分10分を文章で表現するのが難しく。
 消し忘れや、ついポロッと入っちゃってるのが残っちゃってると思います。
 1日を12の倍数で分割することは理にかなっているのですが、60進法の分・秒はハンバーグどころじゃなく中世ファンタジー世界には不似合いじゃないか、というまるでムダな気負い。
 でも中世ペルシャ風であれば逆にむしろ全然問題なかったことも判明。次に別の話で設定することがあれば「この世界の1秒=我々の1秒とは限らない」くらいで済ませたいものです。

 そういえば、出てくる料理はすべて適当な雰囲気料理です。クーフテ《ハンバーグ》はまったくイコールではないのですが、これは現実の名前を採用。トルコ料理ならキョフテ。ちょっと違ってみんな良い料理ですね。



 そんなこんなで、お別れの時間です。余計なことを書いたので輪をかけてわからなくなった部分もあるでしょう。本編の該当箇所かこちらの方で「なんでマン」をいただければ私が喜びます。

 また別の阿呆咄でお会いできればと願います。

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