僕は幼少から父親の影響で妖怪が好きだ。父の本棚には、様々な妖怪本があったのだが、その中でも僕は水木しげる先生の妖怪図鑑(詳しいタイトルは覚えていない)が好きだった。理由は分からないが、「がしゃどくろ」が好きだった。あの見開きに広がる骸骨の迫力が好きだったのかもしれない。そういえば、がしゃどくろは”完全に想像上の妖怪”らしい。父から聞いた。しかし、本題はそれではない。そう。タイトルにもあるように、河童である。
僕は、水木先生が描く河童がとても苦手だったのだ。今も、その本を見るとき、わざわざ河童のページは見ないように飛ばすのだ。もし、この文を読んでいる方がいらっしゃるのであれば、一度「水木しげる 河童」と検索していただきたい。「三平」ではない。ごらんになる画像の中でも、ひときわリアルな物があるだろう。それが僕が苦手とする「河童」なのだ。あなたはどんな風に思っただろうか。一度、高校生の時に友達に見せて「怖い?」と話したときは、かなり微妙な反応をされた。
あの河童の、どこか分からない所をよく分からない表情で見ている顔が、本当に「怖かった」のだ。今、次の文章が思いつかなかったので改めてあの河童を眺めてみる。やはり苦手である。そして、陰影が不気味だと気づく。後頭部と首の後ろの部分はほとんど影で見えない。目やくちばしの陰影は、その後ろの部分の質感を想像させるには十分過ぎるほどリアルだ。
ここまで、つらつらと脈絡もなく「いかに水木先生の河童が不気味か」について語ってきたが、僕は河童が存在するのであれば正にあの姿をしているに違いないと思ってしまうほどに影響されてしまったのだ。
やはり、妖怪は怖い。