• 現代ファンタジー
  • 異世界ファンタジー

皐月五月雨 第8話 旅館

 花凛と温泉旅館に来て、最初にしたことは着物姿の撮影だ。
 恥ずかしそうにする彼女を、俺は言葉巧みに誘導して撮りまくる。

「やっぱさ、せっかくの可愛い彼女の晴れ姿は写真に残しておきたいよな」
「まったくもう。タカ君ってばそればっかり……」
「誰かさんのおかげでカメラの腕前がかなり上達しちゃったからね」
「えへへ、今やプロのカメラマンだもんね」
 微笑む花凛は外の夕陽を眺める。
 俺にはもったいないくらい可愛い彼女だ。

「なあ、この部屋には専用の露天風呂があるんだ。一緒に入ろうぜ」
「え?」
 顔が赤いのは夕陽に照らされてるからだろうか。

 とても魅力的な表情を浮かべる彼女を、俺は無我夢中で撮影していた。
 この最高の画像は俺のスマホの待ち受け画面にしよう。
 これだけは絶対に消させない、一生の宝物だ。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する