雪鼠

　とある教会に住む少年の、眠る前のお話の時間。 　それはロボットと少女のお話―― 「お待ちしておりました。私たちの希望」 　そこで少女は生活を知る。知識と記憶を手に入れる。家…

　未来のないこの国の、王である父は病に臥せっていた。その後を継ぐのはまだ十六歳の私しかいない。この国を守るためには、新たな王が必要だった。 「ねえ、大人になったら私と結婚してくれ…

　とある辺鄙な田舎町。そこに住んでいた人々は、ある夜のうちに姿を消したという。その出来事は厄災の日と呼ばれ、その地は厄災の地と呼ばれた。 　これはその厄災の地から最も近い町での噂…

　略奪、誘拐、殺人に闇商売。犯罪が世界一の密度と品質で繁栄している裏路地で、倒れていたのは一人の少年。「宵闇の銀狼」とうたわれた彼でさえ、そこで生きていくことは難しかった。 　た…

　どうしてみんなそんな目で見るのだろう。物心ついた頃、僕は世界に嫌われていた。 『仮面をつけた家族ごっこ』『死神という呼び名』 　少年は心を閉ざす以外に、自らの身を守る方法を知ら…

　ブラック企業。誰もが身を置きたくない環境に染まってしまった俺は、夢を見ない深い眠りを期待していた。しかし朦朧とする中で見たのは、幼いころに時折見ていた夢の世界で……。 　記憶…

　窓から現れた男は、自分のことを魔王だと名乗った。 「この世界を壊してしまおう」 　魔王の誘いに込められた本当の願いに、共に旅する決心をする。世界は切り取られてなどいない。もっと…

貴方に届いた一通の手紙。 貴方は今、どこにいますか？　目の前には何が広がっていますか？ 貴方ならどんな返事を書きますか？　彼女のもとへ踏み出す勇気はありますか？ これは住む世界…

「月が綺麗ですね」 俺に語りかけてくれるのはその耳障りな機械音だけ。 遠くに見えるのは青い宝石。俺の計画は成功した。俺の最期の一日は、あいつに対する復讐の日だった。