準と出会ってあっという間に1年が過ぎた。
情報部のみんなと不思議な噂を調べては幽霊に遭遇して無理矢理除霊したり、騒がしい日々を送った。
流石に神話の龍が現れた時は驚いたが。緑のような色、蛇に似た体にあの鱗……うぅ思い出しただけでゾッとする。
準と私は……気持ちを確かめ合った。準は、カミである私を受け入れてくれた。
準との日々はいつまで続くのだろう?
いつかは別れねばならないが……。
今度は、悲しい別れは嫌だな。
「カノガミちゃん? 何ボーッとしてるんだよ?」
またそのような呼び方を……。
準は2人だけの時はそのように呼ぶ。名前をワザと間違えるなどと。でも、不思議と心地良い気もした。
「何でもない。なんだその荷物は? 買い物に行ったのではなかったのか?」
「帰りにさ、本屋寄ったんだけど集めてるマンガの新刊出ててさ」
「それにしても買い過ぎであろう……」
「いいじゃん。俺の貯金から出したんだし〜」
準が買い物袋をテーブルへと置き、冷蔵庫に閉まっていく。先程買ったというマンガがテーブルの上に置かれたままとなっていた。その中から適当に手に取ってパラパラとめくる。
「お、それ気になる? 最近始まったラブコメで〜」
「ラブコメという割にはコメディばかりでは無いか。これではギャグマンガだな。この男もなぜかサングラスをかけておるし」
「いいやラブコメだね! このドタバタ青春感はラブコメだぜ」
「定義が良く分からん」
「そんなの自分で決めるもんだって! 俺はな、ドタバタした日常が続いてほんのり恋愛要素があれば、それはもうラブコメだと思うね」
準が饒舌になる。
はぁ。本当にマンガのことが好きだな。
ドタバタした日常か。今の私には、この日々がそう思えるぞ。
◇◇◇
外輪と彼女らしい記憶だね。外輪はいつもマンガばかり読んでいるし。
……。
あれ?
あなた。窓からこちらを見ている観測者さん。
記憶に触れるのは初めて? それとも……もう何回も見てる?
これはね。ある世界の、ある人物の記憶。
この領域には記憶のカケラが眠ってる。
私はそれを探しに来たの。
この記憶が世界の真実の鍵になるハズだから。
それじゃあ私は核心の記憶を探しに行くから。
またね。
https://kakuyomu.jp/works/16817330650693947965