外輪準を仮の憑代としてから1週間の時が過ぎた。私は、準から現代の記憶を読み取り、その知識を得た。
ただ、その中で私は知ってしまった。準は……その両親を他人に殺されていた。そのことを準に問いただすと、彼は「事故だった」と言ってそれ以上は話そうとはしなかった。
「カノガミちゃん。昼メシできたぞ」
「だからその名で呼ぶなと……なんだこれは?」
「からあげ」
「そうではない。なぜこうも沢山あるのだ?」
「カノガミちゃんこの前めちゃくちゃ食い付き良かったじゃん。好きなのかな〜と思って」
「よ、余計なことを……」
「とか言いながら食い付きいいじゃん」
「うるさい。貢物は遠慮なく頂く。これは私の流儀の問題だ」
準は私が食べる姿を見て笑う。なんだコヤツは。この前のことも覚えておるし……どういうつもりだ? 私を利用するつもりか?
「ソナタは私の力を使いたいのか?」
準が困った顔をする。どうだ? 私に願いを言った瞬間消してやる。人間など所詮愚かな生き物なのだ。自分の欲には逆らえまい。
「いや、別に」
「な、なぜだ……!? 時の力だぞ? やり直したいことがあるであろう?」
「だって……俺が戻りたい所までタイムリープしたら死んじゃうって言ってたじゃん。リープ先が幼すぎると脳がパンクしちゃうって」
「そ……そうか。両親が死んだのは6歳の時であったな……」
しまった。時のカミである私が忘れるなどと失態を犯すとは……。
「で、ではこういうのはどうだ? ソナタの両親を蘇らせてやろう」
「そんなことできるのか!?」
準の顔がパッと明るくなった。ふふ。やはりな。コヤツからは孤独を感じておったのだ。大切な物を失う孤独をコヤツは知っておる。
そう。チヨを失った私のように。
……。
「できるぞ。ソナタの親しき者の寿命と引き換えに」
「じゃあいいや」
今度は準が寂しそうな顔をした。なぜだ? なぜそんな顔をする。
「親が戻るのは嬉しいけど、その為に小宮達が消えるのは嫌だ」
「我儘な奴だなソナタは」
「うっせぇ。周りの人が泣くのは嫌なんだ。俺と同じ思いをさせるのはさ」
……。
チヨが村人に殺された時。私は村の連中を犠牲にチヨを蘇らせた。
蘇ったチヨは二度と笑うことはなかった。犠牲になった村人に謝り続けた。
チヨも、同じように思っていたのだろうか?
「まぁでも、ありがとな」
「え?」
「俺のこと気にしてくれてさ。イイ奴だな、カノガミちゃんは」
私は……そんなつもりじゃ……。
◇◇◇
これが2つ目の記憶……。
やっぱり私の予想は当たってた。
でもまだ核心の記憶じゃない。それを探さないと。まだ開示されていない記憶がある……。
何がきっかけなの? 158話が開放されないと辿り着けないのかも……くそ。もうそんなに時間が無いのに。
あれ?
観測者さん。こんな所に何のよう?
偶然かな? それとも観測者さんも記憶を探してる?
私は次の記憶を探しに行くから。
またね。
https://kakuyomu.jp/works/16817330650693947965