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白馬の王子様ではなく、黒馬に乗った王様

イタリア転生記(前世の知識は預言なの)最新話のボツ部分です。


草稿段階のため拙いですが、ボツ原稿を供養させてくださいませ(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾

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「いいのよ、ジャン=ステラ。だって迎えにきてくれたもの。

でも、他にもあるのよ。どうして黒馬に乗っているの?」

僕がいま乗っているのは、ノアールという名の黒い馬。でも、それが何か関係あるの?

僕が首を傾げていたら、マティルデお姉ちゃんのほっぺが膨れてきた。

「だって、ジャン=ステラは手紙に書いていたじゃない。

『おねえちゃんの白馬の王子さまになりたいジャン=ステラより』って。

私、夢に見るほど期待していたのよ。

『白馬に乗ったジャン=ステラが私を迎えにきますように』ってなんども神にお祈りしたもの。

なのに、どうして黒い馬に乗っているのよ!」

マティルデお姉ちゃんが興奮気味に捲し立てているのを、僕は|呆然《ぼうぜん》と聞いていた。

えー、白馬の王子って慣用句じゃないの? それに、馬の色ってそんなに重要なことなの?

理解ができないから、現代の知識に置き換えてみよう。

白いタキシードを着た彼氏がプロポーズしてくれると思っていたのに、黒い喪服で現れたみたいな感じ?

あ、なんか分かる気がした。思い描いていた幸せな結婚生活が、その第一歩で汚されちゃったってことだよね。

とはいえ、いまさら黒馬から白馬に乗り換えても無意味なことはわかる。
だから、僕ができることといえば、お姉ちゃんに謝ることくらい。

「お姉ちゃん、ごめんね。もっと雰囲気が出せたらよかったよね。」

もちろん、ここは戦場なのだから、馬の色なんかに拘っても仕方ない事は、理解している。
けど、お姉ちゃんが怒っているから、ここは穏便に済ませたいなぁ、なんて思ったのだ。

それなのに、お姉ちゃんの怒りは収まらずエスカレートしてくる。

「それにね、ジャン=ステラ。どうして髭を蓄えていないのよ。男らしくないわよ、あなた」

えーー。お姉ちゃん、そこまで言うのはちょっとひどいよぉ。

「だって僕まだ十一歳だもの」
薄いうぶ毛が顔にちょっと生えているくらいで、まだまだもちもちホッペなんだもの。


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