—何かしたいくせに、寝返りをただ打っている。布団が、布団が熱くてたまらない—
私はたまに失言してしまう。時々スイッチが入って、わざと嫌なことを言ってしまう瞬間がある。
元々働いていたバイト先では、Aさんが辞めることになり、彼女の最終出勤日に、
「お疲れ様です。また会えれば……」
Aさんがそんな風なことを言ったことに対して、
「いや、もう会うことはないだろうね」と言ってしまった。
その瞬間も、その後もどうしてそんなことを言ってしまったのか、自分でもよくわからないが、とても後悔している。
別にその時、私の機嫌が悪かったわけでもなく、嫌がらせをしてやろうと思っていたなんてことはない。
ただ、つい気持ちよりも先に口走ってしまっただけなのだ。
だから、Aさんにもし会える機会があるのであれば、私はAさんに頭を下げて謝りたい。
ところで、どうして私の意図しないところで、そんなことを言ってしまったのか。それに対して、最近気づいたことがある。
当時はなんとも思っていなかったのだが、自分が気づいていないだけで、Aさんのことが好きだった。今更ながら、その淡い恋心に最近気がついた。
つまり、好きだからこそAさんがバイトを辞めるのが嫌であって、最後に変な嫌味をぶつけてしまったのだ。
我ながら、女々しくて、なんと情けない話だろう。
そんなことを時々、寝る前に考えてしまう。
ちなみにこの話にオチはない。